研究課題
本課題は、「長距離補正密度汎関数法(LC-DFT)」を深化・高度化し、汎用性の高い分子理論として確立することを目的とする。LC-DFTの汎用性評価のため、世界最高精度の時間依存DFTのスピンフリップLC-TDDFTによる2次元、3次元拡張系電子励起の再現性、および反応機構がわかっていない重要な電気化学反応のLC-DFTの再現性を検証した。理論の高度化においては、高精度軌道エネルギーと機械学習を利用した新しい反応軌道論の開発に焦点を当て研究を行なってきた。さらにLC-DFTの解である軌道エネルギーのみを使って分子の1電子励起エネルギーを表現する新しい簡便な理論を構築した。まず、LC-DFTの適用性が疑問視されてきた電子伝導性を発現する電子励起状態として、2次元系のグラフェンと3次元系の銀クラスタを研究した。また、銀ナノクラスタによる表面増強ラマンスペクトルの増強機構も明らかにした。電気化学反応計算では、過酸化水素に焦点をあて、鉄イオンおよびトリフェニルホスフィン酸化物による過酸化水素分解機構、過酸化水素による直接および鉄イオン添加による燃料電池プロトン交換膜Nafionの劣化機構を初めて解明した。また、リチウムイオン電池電解液であるエチレン炭酸塩など環状炭酸塩の高機能の原因を明らかにした。さらに、人工光合成酸素発生系であるCoPi触媒の酸素発生機構も明らかにした。さらに、理論の高度化では、LC-DFTの高精度軌道エネルギーにもとづく新しい反応軌道論開発の一環として反応軌道エネルギーダイアグラム(ROED)を提案した。現在、機械学習を導入し、反応経路を特定せずに反応物と生成物の軌道情報だけでROEDを作成する方法を開発している。本研究を通じ、LC汎関数をさらに発展させ、応用分野を拡大し、有力な分子理論として確立した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 6件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 12件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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