研究課題/領域番号 |
17H01207
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北森 武彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60214821)
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研究分担者 |
嘉副 裕 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (20600919)
森川 響二朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20796437)
馬渡 和真 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (60415974)
清水 久史 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特任助教 (60631281)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 光熱変換分光 / 拡張ナノ空間 / 超高感度検出 |
研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者ら独自の非蛍光分子検出法である光熱変換位相差(POPS)検出法により、100 nmの拡張ナノ空間で生体分子の無標識一分子検出を実現することを目的とする。具体的には、生体分子を対象とするUV励起型かつバックグラウンドフリー化のための光学系、及び熱拡散に伴う感度低下の抑制のため熱光学特性を制御した検出用拡張ナノ流路を開発して、これまで100分子レベルであった検出感度を更に2桁向上させる。以上により、単一・可算個分子を対象とする極限の分析化学を創成する。 2018年度は、フッ化カルシウムを壁面基材としたマイクロ・ナノ加工プロセスを開発して、拡張ナノ流体デバイスを作りあげた。POPS検出では、プローブ光を微分干渉プリズムにより分離して干渉させることで光の波長以下の拡張ナノ空間で試料分子から放出される熱に伴う屈折率変化を検出する。これまでのデバイスでは、拡張ナノ空間で試料分子から放出される熱が壁面基材であるガラスまで拡散していた。温度上昇に対して溶液の屈折率は減少するのに対し、ガラスの屈折率は上昇するため、結果として、屈折率変化分が減少して信号強度が低下していた。これを解決するため、温度上昇に対して屈折率が上昇する基材であるフッ化カルシウムを壁面基材として導入することにより屈折率変化分を増加させ、信号強度を上昇させる構想に至った。これを実現するため、ガラス製の拡張ナノ流路にフッ化カルシウムを集積した加工プロセスを開発し、デバイス作製に成功した。今後、作製したデバイスによって感度の向上を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究計画通り、2017年度はUV励起型POPSにおける光学系の問題を解決し、2018年度は拡張ナノ流路の熱光学特性を制御可能なデバイス作製を実現しているため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに開発した光学系とフッ化カルシウムを壁面基材として用いたデバイスを用い、励起光強度の増強とノイズ低減に取り組み検出性能を評価する。最終目標として、生体分子の無標識一分子検出を目指す。
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