研究課題
今年度は主に,アンモニア水溶液の分解反応に活性を示す可視光応答性金属硫化物・酸化物粉末光触媒の開発を行った.Cu2ZnGeS4金属硫化物光触媒は570 nmに吸収端を有しており,可視光領域まで利用することができる.このCu2ZnGeS4光触媒にRu助触媒を担持し,可視光照射下におけるアンモニア水溶液の分解反応を試みた結果,水素と窒素が3:1の化学量論比で継続的に生成した.さらに,波長依存性を調べたところ,本反応がCu2ZnGeS4光触媒のバンドギャップ励起により進行していることが明らかとなった.次に,Cu2ZnGeS4光触媒の長波長応答化を目的として,同様のStannite構造を有するCu2ZnSnS4光触媒との固溶体を調製した.その結果,固溶比に応じて,吸収端を570-850 nmの範囲で制御できた.これらCu2ZnGe1-xSnxS4 (x=0~0.8)固溶体は,Ru助触媒を担持することで,可視光照射下でのアンモニア水溶液の分解反応に活性を示した.このように,Cu2ZnGeS4およびCu2ZnGe0.2Sn0.8S4金属硫化物光触媒を用いて,可視光照射下におけるアンモニア水溶液の分解を達成した.一方,水素生成反応に活性を示すIr,La共ドープBaTa2O6光触媒をアンモニア水溶液の分解反応に応用展開した.その結果,Pt助触媒を担持した光触媒が,可視光照射下においてアンモニア水溶液の分解反応に活性を示し,化学量論的に水素と窒素を継続的に生成した.このように,Ir,La共ドープBaTa2O6がアンモニア水溶液の分解反応に活性を示す新規可視光応答性金属酸化物光触媒であることを見いだした.
2: おおむね順調に進展している
アンモニア水溶液の分解に活性を示すいくつかの可視光応答性金属酸化物および硫化物光触媒の開発に成功した.これらの成果は世界初である.一方,窒素固定に活性な光触媒の開発に関しては,着手し始めたところであり,これから加速して研究を展開していく.
アンモニア分解可視光応答性光触媒に関して今まで得られた知見を元に,われわれが保有している水分解光触媒ライブラリーから適当なものを選択し,新たな光触媒を開発する.窒素固定に関しては,これまで開発してきた水分解触媒の還元力などの特性を踏まえて,新たな光触媒の開発を行っていく.
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件) 学会発表 (27件) (うち国際学会 8件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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