研究実績の概要 |
1. 酸素発生触媒の電気化学活性評価と作用機構解析 昨年度までに、融着連珠構造のM-SnO2(M=Nb, Ta, Sb)担体に約2 nmのIrOxを高分散した酸素発生触媒は0.1 M HClO4水溶液中、80℃で従来の(IrO2+Pt)微粒子触媒(約20 nm)の27~36倍い質量活性を示すことを見出した。この活性増大機構を解析した。IrOxナノ粒子表面のIrO2表面積を見積もって従来触媒と比較したところ、表面積の増大は4.0~5.5倍であった。(IrO2+Pt)の酸素発生反応に対するTafel勾配は60 mVであったが、IrOx/M-SnO2触媒のそれは46 mV~52 mVで勾配が小さくなっていた。このようなTafel勾配の変化はIrOxとM-SnO2担体との相互作用により反応が促進されていることを示唆している。すなわち、IrOx/M-SnO2の活性増大は、M-SnO2担体への高分散化による活性表面積の増大とIrOxとM-SnO2間の相互作用によることを明らかにした。 2. 水素発生触媒の電気化学活性評価と作用機構解析 Pt3Co/C水素発生触媒の調製法を見直し、0.1 M HClO4水溶液中、80℃で市販Pt/C触媒の約4倍の質量活性を示すことを見出した。Pt系ナノ粒子表面が(111)面、(100)面、(110)ステップのような基本低指数面から構成されているので、Pt3Co単結晶電極を用いて水素発生活性増大機構を初めて調べた。活性序列はPt単結晶のそれと同じで(100) < (111) < (110)であり、 (110)面の活性増大率が最も大きかった。DFT計算により水素原子の吸着エネルギーの減少によりTafel-stepのような素過程が促進されることがわかった。
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