研究課題
これまでに活性なナノセラミック粒子との複合化により,超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を固相のまま成膜させ,その成膜メカニズム解明と界面強度評価を実施してきた.ナノセラミック粒子の混合がどのように成膜性を向上させるのかを実験および分子動力学による数値解析により検討し,ナノセラミックスであればどんな粒子でも成膜性向上の効果が現れるわけではなく,粒子表面に水酸基の腕を有する粒子が有効であることを明らかにした.この詳細なメカニズムに関しては,まだ未解明の点もあるが,粒子表面の水酸基が水素結合を促し,化学結合していると考えられる.一方,昨年度実施した基材表面へのレーザーを用いた溝加工による機械的結合の改善は,成膜効率および密着強度の向上に有効であることを示したが,溝の深さ,幅,レーザー加工のピッチに最適値があることを,実験および有限要素解析から明らかにした.フッ素系樹脂を用いた場合,水酸基を有するナノアルミナとレーザー溝加工により,成膜効率が60%を越え,これまでコールドスプレー法で実績のある金属粒子同士の成膜効率(低圧コールドスプレーの場合,10%程度)を大きく超える極めて良好な成膜性を得ることに成功した.さらに,得られたフッ素系樹脂皮膜は,撥水性評価試験の結果,バルク材を超える良好な撥水性を示した.これは,コールドスプレーによる皮膜表面の微細構造により,ロータス効果が発現したものと考えられる.さらに,本手法を応用し,ポリイミドの成膜にも成功している.以上のように,本研究によって,多くのポリマー材料を未溶融のまま固相成膜が可能となった.また,今年度の後半に試作したチタンボンドコートは,レーザー溝加工を必要とせず,ポリマー粒子の成膜性・密着性を顕著に向上させることが明らかになった.その改善メカニズムはわかっていないものの,ポリマー成膜の新たな展開として期待される.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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