研究課題/領域番号 |
17H01240
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉野 雅彦 東京工業大学, 工学院, 教授 (40201032)
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研究分担者 |
松村 隆 東京電機大学, 工学部, 教授 (20199855)
長尾 忠昭 国立研究開発法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他研究員 (40267456)
山中 晃徳 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50542198)
梅原 徳次 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70203586)
寺野 元規 岡山理科大学, 工学部, 講師 (90708554)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 微細エンボス加工 / 微細切削加工 / インプリント法 / 微細金属素子 / 冷間接合 |
研究実績の概要 |
本研究ではサブμmサイズの超微細金属素子(部品)を効率的に製造する技術を開発し、実用的な光機能デバイス製品への応用を示すことを主たる目的としている。 本年度は、まずスタンプ用モールドの作製法の確立を目指した。単結晶ダイヤモンド表面にFIB(集束イオンビーム)で大きさ・形状の異なるサブμmサイズの微細凹型を加工し、凹型工具を作製した。石英ガラス基板上にコーティングした金薄膜および圧延で製作した純アルミニウム箔を被加工材として、凹型工具を超微細塑性加工装置によりエンボス加工実験を行った。この実験より、エンボス加工により微細形状を金属膜に転写・複製するための諸条件を明らかにし、サブμmサイズの微細形状を大量に製作する技術の可能性を示した。 一方、超微細切削加工により微細溝列を大面積に加工する手法を確立する為、超微細切削加工装置を改造し、切削力測定、潤滑液中加工が可能な実験装置を開発した。本装置を用いて、ニッケル燐メッキ膜に微細溝加工実験を行い、サブμmサイズの微細溝列の加工法およびそれに伴う工具摩耗の抑制法など検討し、大面積の微細溝金型の作製が可能であることを示した。さらにこの金型をプラスチックに転写しスタンプ用型を製作した。このプラスチック型に金薄膜をコーティングし、冷間接合により凸形状部分のみをガラス基板に転移させる手法にて、微細金属構造を製造するプロセスの実現性を示した。 さらにファイバイー式赤外分光光度計を導入し、製作した試験片の光学特性評価方法を検討した。 なお、本年度は上記の加工実験を優先し、当初計画していた微細機械加工装置の改造は一部に留め、全体の改造を次年度に行う事にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではサブμmサイズの超微細金属素子(部品)を効率的に製造するために、機械加工技術により比較的大きな領域に超微細素子形状を大量に加工する技術の確立を目指している。本年度は超微細エンボス加工により微細素子形状を金型に繰り返し加工する手法を検討し、その有効性を示した。また超微細切削加工により大面積の微細金型を作製する方法も明らかにした。これにより本研究の第一段階である微細金型の製作法の実用性が示された。さらにその金型からプラスチックモールドを作成し、それを使い冷間接合で微細金属素子を簡便に製作する方法を提案した。このようにサブμmサイズの超微細金属素子(部品)を効率的に製造するための基礎技術の開発が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、金属基板に微細素子構造を加工し母型を作製するための微細複合機械加工装置の開発を行う。本装置は種々の工具を自動的に交換する機構を組み込むことにより、1台で種々の微細形状が加工できるように改造し、種々の微細形状を有する金属金型を効率的に作製する技術の確立を目指す。 さらに微細加工技術の検討を進めると共に、金属母型から凹凸形状を反転したプラスチック型から微細金属素子を効率的に作製法を検討する。昨年度開発した冷間接合による方法に加え、ケミカルスタンプ法についても検討する。多層構造の微細金属素子の製作法についても検討する。 また、十分大きな領域に微細金属素子を作製し、その光学特性を評価し、新たな光学機能デバイスへの応用を示す。
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