研究課題
本研究は,姿勢変換と移動行為を支援するソフトロボットアシスト技術の確立という目的に沿って,当初計画に沿って以下の通り研究活動を行った.(1)人間機械系の生体力学・動力学解析:姿勢変換支援機器の動力学解析の高度化:昨年度に引き続き,患者・協力者における支援中の動作解析結果に基づき,実装可能な形態で姿勢変換における受動的支援機構のモデリングを行った.特に,動作中の体幹の角度や関節モーメントに関する研究を進め,動力学を考慮した動作支援モデルについての研究を行った.また,体重の軽い小児(脳性麻痺児)を対象とし,機械系が有する摩擦の影響,及び動力学的な特性に関する検討を行った結果,適切な支援モデルを検討し実装を行った.一方,臥位-座位変換,座位-立位変換を支援するソフトロボットに関する基礎的な検討も行った.(2)ソフトロボットアシスト機器の開発:姿勢変換と移動行為を支援するロボット装具:昨年度に引き続き,上部体幹運動・腕動作を利用したハンズフリーでの立位移動機器の開発を進めた.特に,乗員の自然な動作で移動機器を制御するため,外骨格ロボットの腰部にセンサを実装し,体幹の前傾・回旋を利用することで,上部体幹を利用した移動機器の前進及び回転動作を実現した.また,回転脚機構により段差踏破を実現する試作機を開発し,臨床研究のための準備を進めた.(3)応用研究:日常生活支援応用のための実証研究・リハビリテーション臨床研究:脊損者に対し姿勢変換支援機を用いた起立・着座訓練の介入研究を行い,立位保持訓練,及び座位・立位姿勢変換機の臨床研究(UMIN登録番号000016357)を引き続き継続して行った.あわせて,小児を対象とした起立動作・立位姿勢保持の研究を実施し,健常小児による検証を行うことで良好な結果を得ており,次年度の脳性麻痺者に対す実証研究に関する研究プロトコルの策定を行った.
2: おおむね順調に進展している
(1)基礎研究(人間機械系の生体力学・動力学解析),(2)応用開発(ソフトロボットアシスト機器の開発),(3)臨床研究(リハビリテーション・日常生活支援応用)からなるサブテーマを明確に設定し,提案技術の理論的な深化と出口を見据えた基盤研究を同時推進しており,おおむね順調に進展しているといえる.
本研究は,脳性麻痺児や脊椎・脊髄損傷者(以下,脊損者)といった運動機能障害を有する人々を対象とし,本人の意志による随意的な姿勢変換やその訓練,および移動行為を支援するためのソフトロボットアシスト技術の創成を目指すものである.ここでは,人と機械が一体となって動作する装着型や搭乗型の支援機器を実現するため,人と機械との相互作用を力学系によるエネルギーの流れとして捉え,人が有する残存機能を最大活用するソフトロボットアシスト技術を深化させる.特に,臥位・座位・立位姿勢遷移の生体力学的解析に基づく姿勢変換支援に関する基礎研究と,日常生活活動の質を劇的に変容させる姿勢変換・移動行為支援機器の開発,小児姿勢ケアの早期介入や,移動行為支援に関する臨床研究を通じて,ソフトロボットアシスト技術を創成するための引き続き研究を行う.
すべて 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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