研究課題/領域番号 |
17H01252
|
研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
田中 由浩 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90432286)
|
研究分担者 |
河島 則天 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究室長 (30392195)
吉川 雅博 大阪工業大学, ロボティクス&デザイン工学部, 准教授 (40584511)
藤原 道隆 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70378222)
佐野 明人 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80196295)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 触覚フィードバック / 手術支援機器 / 義手 / 身体認識 / 人間機械システム / 触覚センサ / 振動伝搬 / 感度調整 |
研究実績の概要 |
触覚は外界の知覚だけでなく,自身の身体認識や運動制御に大きく関係する.道具使用における道具上の触覚検出と使用者への触覚呈示は道具の身体化を促し,操作性付与による使用者の能力活用・拡張と道具性能の引出し,さらに身体認識に繋がる.本研究は,腹腔鏡下手術用触診システムおよび触覚付き義手を具体的な開発対象とし,道具の身体化を促す触覚付与の設計論構築を目指している.本年度は,共通基盤として,個人差や身体部位による感度の違いを基にした触覚提示調整法の検討,各開発対象については,押込型触診システムのセンサの改良および硬さ触覚提示の検討,能動義手への触覚付与について主に研究開発を進めた. 指先や前腕に対し,ウェーバー・フェヒナーの法則を基にした異なる部位で同程度の感覚を与えるための触刺激強度調整モデルを構築した.実験の結果,指先と前腕で振動刺激に対して検出閾値は異なり個人差も認められるが,同一人物内において指先と前腕でウェイバー比は同程度であることがわかった.これにより簡単な刺激を与える調整実験を通して,指先と似た感度特性を前腕で再現できることが確認された。 押込型触診システムでは,力と接触面積を取得し硬さを推定する方法から,接触面の3点の力を取得し応力分布を基に硬さを推定する方法にセンサを改良し,子宮腺筋症モデルを対象にした腹腔鏡下手術を模した環境において,硬さ計測の有効性を示した.さらに硬さ提示の方法について,応力分布の情報を圧力と振動により代行的に提示する方法を提案し,その実効性を示した.これにより触覚提示手法の自由度を広げ環境に応じた装置開発が期待できる. 触覚付義手では,装飾義手への触覚付与を基に,能動義手へ触覚センサおよび振動子を組み込んだ.親指,人差し指,手の甲に実装し,触った部位の識別や,作業の識別が触覚提示により良好に行えることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個人差や部位による感度の差異を考慮した触覚提示調整法の開発,押込型触診システムにおけるセンサ改良や硬さ感覚の提示,能動義手への触覚の実装が進められており,順調である.把持型触診システムの展開については,法線力に加えせん断力を計測する基本的手法を開発した.触覚提示調整や複合的感覚の代行的触覚提示の手法の開発は,道具の身体化だけでなく,様々な触覚提示装置に応用でき,波及効果が高く今後のさらなる応用が期待できる.
|
今後の研究の推進方策 |
押込み型および把持型触診システム,電動義手について,触覚センサや触覚ディスプレイの開発を継続し,適切な統合を与える触覚ディスプレイの配置や代行的触覚提示について検討する.また,共通基盤として開発した感度特性を適合させる調整法に関して,具体的に触診システムおよび義手に実装し,操作性や身体認識の向上が適切になされるかを検証する.最終年度として,これまでの知見と合わせて道具の身体化ための効果的な触覚の検出と提示技術をまとめる.
|