研究課題/領域番号 |
17H01262
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
波多野 睦子 東京工業大学, 工学院, 教授 (00417007)
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研究分担者 |
関野 正樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20401036)
八井 崇 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (80505248)
日下部 守昭 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任教授 (60153277)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 電気・電子材料 / 電子デバイス・機器 |
研究実績の概要 |
優れた生体親和性と、磁場に高感度でベクトルイメージング可能なダイヤモンド中のNVセンタの特長を活用して、材料-物性-デバイス-計測-システム-医療の理・工・医学の連携により、原発癌の性状特定と迅速・高精度・低侵襲に転移癌を検出するダイヤモンド量子センサを世界に先駆けて実現することを目的とする。NVセンタのナノ領域における量子(電子スピン、光子、フォノン)間相互作用を解明・制御し、材料・スピン制御計 測技術とナノ光子制御技術と融合することで性能と機能性を向上させる。さらには診断・治療に即した生体計測法を実現し、次世代医療に重要なQuality of Lifeの向上につなげる。 本年度は 1)高性能・高機能ダイヤ量子センサ、2)プローブヘッドの開発、3)磁性粒子の発生する磁場の2次元イメージングを行った。1)に関してNVセンタを含むダイヤ膜の合成では、NVセンタの生成率を従来比約10倍向上させ、2.3nT/√Hz (AC磁場)の高感度化を図ることができた。また生体計測に向けたDC磁気感度向上を目的とし,低周波ノイズを除去するために系に交流磁場を印加する新規なロックイン検出法を提案し、36倍の感度向上を確認した。 2)では、実際の診断・治療に即した生体計測のために、ハンドヘルドプローブを試作した。磁気ヘッド部には光ファイバによる光照射・検出系を用いて、小型化・堅牢化を実現するとともに、磁性微粒子を効率よく磁化させるための励起コイルを実装した。さらにグレーティングカップによる光取り出し効率の高い構造の数値検討を行い、ダイヤ基板と金グレーティングカップの間に発生するプラズモンモードを高効率に励起することにより、2桁程度の検出効率向上が得られることがわかった。 3)では、環境ノイズ低減を低減するフィードバック系を構築し、リンパ節に注入する磁性微粒子を想定した磁場のイメージングを取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ダイヤモンド量子センサの早期実現のために、各グループの実施目標を明確にし、独自アイデアの原理実証を行った。その結果、要素技術([1] 高性能・高機能ダイヤ量子センサ、[2]プローブヘッド、[3]磁性粒子の発生する磁場の2次元イメージングの各目標について、予定した結果を計画より早期に得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに各グループで得られた結果を踏まえて、有機的に統合することで、実際の診断・治療に即した生体計測を行う。外科医による術中使用も視野に入れて、磁気センサモジュールを試作してハンドヘルドプローブへ搭載し、システム全体を可搬型の筐体に収めた試作機を完成させる。試作機の性能評価のため、動物実験を行う。後肢の指間皮下に磁性トレーサー粒子を皮下投与して、継時的に膝下リンパ節への集積を測定する。この実験から,検出に必要な集積時間と、検出可能なリンパ節の深さなどを明らかにする。センチネルリンパ節は、癌組織の近傍に投与された粒子がリンパ流によって最初に到達するリンパ節であるが、体型などの個人差によってリンパ節の深さやリンパ流に差があり、従来の磁気センサではリンパ節を検出できないケースがあった。ダイヤ量子センサによって検出距離が伸長され、個人差によらずリンパ節を検出できる性能を有することを示す。この実験から,検出に必要な集積時間と、検出可能なリンパ節の深さや磁性トレーサー粒子の量などを明らかにするすることで、各技術要素([1] 高性能・高機能ダイヤ量子センサの創製、[2]プローブヘッド、[3]磁性粒子の発生する磁場の2次元イメージング)の改良につなげる。さらなる磁気感度向上のために、NVからの発光効率を向上することが必須となる。そこで、グレーティングカップを通してファイバによるダイヤモンド基板からのNV発光の高効率検出を実証し、作製したファイバプローブヘッドを利用して、高感度磁場検出を達成する。さらにNV同士の発光の協調現象を利用した超放射発光制御を検討する。超放射を発生させるためには、双極子の向きの制御も重要となる。そのため、NVセンタの密度依存性に加えて配向度依存性も併せて詳細を検討する予定である。
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