研究課題
優れた生体親和性と、磁場に高感度でベクトルイメージング可能なダイヤモンド中のNVセンタの特長を活用して、材料-物性-デバイス-計測-システム-医療の理・工・医学の連携により、迅速・高精度・低侵襲に転移癌を検出するダイヤモンド量子センサを世界に先駆けて実現することを目的とする。NVセンタのナノ領域における量子(電子スピン、光子、フォノン)間相互作用を解明・制御し、材料・スピン制御計測技術とナノ光子制御技術と融合することで性能と機能性を向上させる。さらには診断・治療に即した生体計測法を実現し、次世代医療に重要なQuality of Lifeの向上につなげる。本年度は [1]量子センサの高性能化、並びに[2]低侵襲ダイヤモンド量子センサプローブの施策を行った。[1]に関しては、前年度までに数値シミュレーションによって得られたグレーティングカップラーの最適構造(周期300nm)を作製した。電子ビーム描画装置を用いて、NVセンタを含むダイヤモンド基板上に、金によるグレーティング構造を作製した。NVセンタによる発光の取り出し効率を評価した結果。グレーティングカップラによる発光強度は一桁以上向上することを確認した。また、レーザーのノイズの低減を目的とし、NVセンタによる磁気信号からレーザー強度信号を差し引くバランス検出方式を構築し、350倍以上の高感度化を実現した。{2}に関しては、量子センサを用いて癌の転移診断のために体内へ投与した磁性ナノ粒子の動態を検査するための、手持ち式磁気センサプローブの試作を行った。プローブの先端部分にセンサと励磁用コイルを搭載して、磁場強度に応じたダイヤモンドの蛍光を測定するために光ファイバを用いた光学系とマイクロ波用ケーブルを設けた。5μLの医療用磁性ナノ粒子の検出、さらにはラットのリンパ節内の磁気ナノ粒子の検出を実現した。上記の成果に関して、論文を執筆し、招待講演をはじめとする講演も多数行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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