研究課題
これまでの研究結果において、MgO基板上のMgZnO薄膜および多層量子井戸(MQW)から室温での深紫外発光をカソードルミネセンス(CL)で得らえるようになった。今年度は、その物理的な機構に関する研究を中心に行い、半導体深紫外光物性という学術分野への寄与を目指した。1. CLと反射測定を主な手法として高精度深紫外光物性評価を行うため、本研究で順次構築してきた光物性測定系の装置に新たにチョッパおよび窒素ガス発生装置を設けて、高精度かつ迅速な測定が可能となるようにした。装置性能の確認も兼ねてMgO基板の評価を行い、160-164nmの波長領域における測定から、自由励起子と束縛励起子発光を同定しえた。これら励起子発光は室温まで観測され、、MgO を終端材料とする RS-MgZnO の発光材料としての 高いポテンシャルが示された。2. MgZnO/MgO MQWの光物性測定と量子準位間遷移エネルギーの計算から、量子閉じ込め効果に関して検討した。その結果、井戸層幅の減少とともに発光波長が短波長化したが、量子準位間遷移エネルギーに比べて0.6-1eV低エネルギーにおける発光であることが明らかになった。3. 本研究を通じて、MgZnO薄膜およびMQWから観測される発光波長はバンドギャップや量子準位間遷移エネルギーに比べて低エネルギーにあることが今後の課題と考えられた。その要因を明らかにすることを目指し、時間分解フォトルミネセンス(PL)測定を行った。結果として、非輻射性の欠陥の影響が大きいとわかり、今後結晶性の向上や不純物の低減を図ることが必要という示唆が得られた。一方、Mg組成が大きく短波長の発光を示す材料ほど、MgO基板との格子不整合が小さいために結晶性が優れていることが光学測定からも明らかになり、MgZnOはサブ200nmの短波長光機能の創成に適した材料であることが示された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Applied Physics Express
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