研究課題
本研究は,有機・無機高信頼性ハイブリッド接合を工業的に簡易な低温大気圧で実行可能にすることで,薄型電子基板の積層と,軽量ハイブリッド構造材料の接続を一つのプロセスで実現し,次世代移動体IoTに資する軽量ハイブリッドかつスマートな構造材料を実現することを目的とした.そのために,純水やアンモニアなどの低毒性かつ安価な溶剤蒸気を微量含有した大気圧窒素雰囲気で真空紫外光を照射することでラジカル種を発生させ,各種試料表面の汚染除去・無機材酸化物の一部還元・還元サイトへの極薄架橋層(厚さnmレベル)形成を一度に行える接合手法を開発した.X線光電子分光法や透過電子顕微鏡観察などにより,水蒸気含有雰囲気の場合は水酸化水和物薄膜末端の水素結合とその脱水縮合が,アンモニアの場合はアミン基のそれが結合達成に寄与することが明らかになった.また,架橋層厚は一定の値までは溶剤蒸気密度と紫外光照射時間の積に比例し,特に片方もしくは両方の材料が金属の場合は,実働環境での金属イオンの拡散距離以下に層厚を制御することで十分な導電性を確保できるなど,接合と同時に界面の機能性を獲得できる特長を示した.さらに,常温でも母材イオンの極薄架橋層内への拡散が発生することで,経時的に粒界的な明確な界面は消失し,母材と同等の破断強度を呈することを実証した.本手法により,多様な金属構造材料・半導体基板材料・配線金属材料・有機基板材料・炭素繊維強化ポリマーのマトリックス材の強固なハイブリッド接合が達成されただけではなく,実際の圧延チタン箔とマトリックスポリマーの間に可撓性歪センサを含む構造を試作し,実働を確認した.また,高感度センサ構築など,分野横断的な実用例も得た.加えて,当初計画には無かったが,低級アルコールの利用により界面に耐水信頼性を発現できる可能性も見出した.
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
Optics Express
巻: 29 ページ: 59~59
10.1364/oe.408515
Nanophotonics
巻: 9 ページ: 4775~4784
10.1515/nanoph-2020-0456
巻: 9 ページ: 3373~3384
10.1515/nanoph-2020-0095
JOURNAL OF THE JAPAN WELDING SOCIETY
巻: 89 ページ: 438~446
10.2207/jjws.89.438
Nature Communications
巻: 11 ページ: 1~10
10.1038/s41467-020-14426-6
Materials & Design
巻: 195 ページ: 109065~109065
10.1016/j.matdes.2020.109065