研究課題/領域番号 |
17H01277
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
成瀬 誠 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所, 総括研究員 (20323529)
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研究分担者 |
堀 裕和 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10165574)
金 成主 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科, 特任准教授 (30455456)
赤羽 浩一 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室, 主任研究員 (50359072)
内山 和治 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70538165)
西郷 甲矢人 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (80615154)
岡村 和弥 名古屋大学, 情報学研究科, 特任助教 (90725178)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 意思決定 / 光システム |
研究実績の概要 |
本研究では、研究代表者らが世界をリードするナノ光学及びレーザーカオス技術に基づき、人工知能で重要な強化学習の本質である多本腕バンディット問題(意思決定問題)を、光の極限性能とともに物理的に実現することを目指す。具体的には、(1)光の微細化の極限としての近接場光による超高集積意思決定、並びに(2)光の高帯域性の極限による超高速意思決定に関し、スケーラビリティの実証や最適デバイス化を含めた具現を目指す。さらに、(1)、(2)の基盤となる理論を構築するとともに、超高速性などの光のメリットを最大に引き出す応用シナリオを検討する。 研究の初年度である今年度は、(1)、(2)の実験環境及び種々の方式検討のための理論・シミュレーション環境の整備を進めた。具体的な研究では、レーザーカオスを用いた2本腕バンディット問題の解決に成功し、その成果はScientific Reports誌に掲載された。最も優れた意思決定性能は 20 Gsample/sにおいて得られ、レーザーカオスの有する負の自己相関が最大化するサンプリングレートであることを見出した。これらは意思決定性能を最大化する時系列の存在を示唆している。さらに動的に変化する環境での意思決定に不可欠な履歴の忘却能力と環境への適応能力及び安定性の関連性を明らかにし、適切な忘却能力の重要性を示した。基盤理論面では圏論(Category theory)を用いた意思決定及び解探索の構造解明を進め、その成果は Philosophies 誌などの原著論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
レーザーカオスを用いた世界初の意思決定実験の成功や、基盤理論における圏論を用いた取り組みの論文発信(2報出版、1報印刷中)など当初の想定以上の成果をあげているため。
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今後の研究の推進方策 |
光技術を用いた意思決定におけるスケーラビリティ原理の構築など、機能の基本原理の確認・実証を重視する。さらに、意思決定の対象とする課題を多本腕バンディット問題から高度化するなど、質的な新規性を重視する。
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