研究課題/領域番号 |
17H01278
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
廣川 二郎 東京工業大学, 工学院, 教授 (00228826)
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研究分担者 |
永妻 忠夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (00452417)
齋藤 美紀子 早稲田大学, ナノ・ライフ創新研究機構, 上級研究員(研究院教授) (80386739)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アンテナ / ミリ波 / テラヘルツ |
研究実績の概要 |
(a1) アンテナ試作のエッチング・接合…ミリ波帯アンテナにおいて,軽量化のため,比重が銅に比べて約1/3のアルミニウム合金6063を検討した。銅に比べ溶けやすい,酸化しやすい等の問題を考慮した条件出しを行った。バルクでの導電率と比較して薄板積層の実効導電率が小さくなり,想定したアンテナ効率よりも低くなった。 (a2) テラヘルツ帯アンテナ試作の金属膜形成…金属膜の付きまわりや均一性,高導電性を目的に自己組織化膜を金属膜形成の前処理の検討を進めた。プロセス検討,断面の観察を行った。 (b1) ミリ波帯アンテナの測定…2017年度に構築したミリ波帯実験系を用いて,(c)で試作したアンテナの反射,近傍界分布を測定した。 (b2) テラヘルツ帯アンテナの測定…実通信環境でのアンテナ評価を行なうため,300GHz帯において,QPSKならびに16QAM変調方式を用いたシステムを構築した。QPSKについては,I/Q同時受信を実現した。また,600GHz帯への拡張を目指し,帯域300GHzを超えるフォトダイオードの開発を行い通信実験に成功した。 (c) アンテナの高機能化…アンテナを2次元にサブアレー化し,マジックTの縦続接続を用いて和,差ビームを2次元的に形成した。これを送受信に2つ用いて非遠方界領域の距離におき,複数ビーム間の2次元直交性から多重伝送を実現した。さらに,偏波共用アンテナと組み合わせることで,多重度を2倍にできた。放射部を簡素化し給電部だけを接合する構造を検討し,円偏波による実現,直交2直線偏波による実現,直線偏波における広帯域化に成功した。2x2素子を単位とする励振により約35度方向に生じる約-20dBのサイドローブを抑圧するスリット構造を検討し,H面のみあるいはE面,H面両方に適用した。73GHz帯での設計試作により約-30dBまでサイドローブを抑圧できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
テラヘルツ帯アンテナの特性向上に関しては予定通りにはできていないものの,その他の検討項目であるミリ波帯アンテナの測定システムの構築,350GHz帯無線伝送システムの構築,積層薄板拡散接合導波管型平面アンテナの高機能化(直角座標系2次元直交直交性に基づく多重伝送を放射部の簡素化,サイドローブ抑圧)は計画通りに進捗しており,おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
テラヘルツ帯アンテナの特性向上に注力する。試作法の改良だけでなく,広帯域化にむけたアンテナ構造の改良にも行う。その他の検討項目に関しては,当初の予定通り,アンテナの高機能化(給電回路における素子広帯域化と薄型化,2面結合ハイブリッドとコルゲート導波管形移相器を用いた非遠方界2次元直交4多重伝送用ビーム切換回路の検討),350GHz帯近接無線へ適用による実用性の実証を行う。自己組織化膜を用いたテラヘルツ帯アンテナ用金属膜形成の試作を行い、接合や特性評価まで検討を進める。
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