研究課題
1.空隙構造の連結性に着目した微細構造中における水・イオンの移動機構の解明とモデル化実際の塩害環境に暴露されたコンクリート供試体を対象とした解析を実施し、コンクリート内部への塩分浸透量を過小評価している点が明らかとなった。そこで、空隙の連結性に関する最新の知見を網羅的に収集し、水銀圧入法とX線CTスキャンの結果より全空隙率と連続空隙率の関係を再整理し、空隙連結度を毛細管空隙とゲル空隙の和である空隙率の関数として定式化した。また、塩化物イオンのクラスターサイズや空隙壁面の影響などの微視的メカニズムの観点から、塩分移動限界となる閾空隙半径を1.5nmと再設定した。続いて、空隙内の液状水の連結性を考慮するために、格子ボルツマン法を用いた既往の解析結果を再吟味し、飽和度と空隙率の積と連続空隙中の連続した液状水の比の関係として整理することで、空隙率の大小によらず、連結性を担保する限界水量(連結限界水量)が一意に定められることを見出した。2.部材および構造物を対象とした解析モデルの総合的検証部材および構造物レベルでの試験や実構造物のモニタリングで得られた結果を用いて、本研究課題で開発した解析モデルの総合的検証を実施した。供試体を用いた様々な試験(強度発現、収縮・クリープ、水分逸散)について、物理化学モデルを全て統合させ、精度よく追跡可能か否か検証を行った。その結果、供試体レベルの強度発現、水分逸散といった挙動から、部材供試体およびフルスケールでのひび割れ発生までを、精度良く解析可能であることを示した。また、収縮ひび割れリスクを低減するために、膨張材の活用が実設計・施工で進みつつある。エトリンガイト系、石灰系膨張材の両者の化学反応をモデル化し、ポロメカニクスを援用した構成則を新たに定式化することで、鉄筋比の異なる拘束試験体に対して、数値計算により膨張挙動を捉えることに成功した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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