研究課題
今年度は,まず,難透過性砂岩への超臨界CO2注入実験において,弾性波計測システムを改良し,岩石の2次元断面全体の弾性波速度をモニタリングを行い,CO2注入に伴う弾性波速度の経時変化を明らかにする。さらに,CO2注入実験後に水注入実験を行い残留ガストラップの評価を実施する。さらに,元素分析や文献査から,難透過性砂岩における4つのCO2貯留形態を明らかにする。その結果,以下のことが明らかとなった。(1)CO2を長時間注入することで,CO2流路は複数回拡幅すると推測される。(2)試験体上部ほどCO2は多く侵入するが,排出面付近は難透水層の層厚が薄いために,CO2が透過して,CO2飽和度が低くなる。(3)CO2は,界面を維持しながら岩石内を侵入するのではなく,分岐しながら岩石内を侵入していく。(4)CO2が貯留された岩石に水注入して,定常流になったとき,排出面付近を除いた試験体のCO2飽和度分布は均一になる。(5)注入された水は,残留ガストラップされたCO2を避けて試験体内を侵入し,水の流路のCO2飽和度を均一にする。(6)難透過性砂岩のCO2貯留形態は,構造トラップ0.068:残留がストラップ0.0881:溶解トラップ0.051の割合となる。以上のことから難透過性砂岩は,多くのCO2を残留ガストラップにより保持することが可能であることがわかり,長期的なCO2地中貯留に際し,保持されたCO2と地下水との地科学的な反応に期待できることから,より多くのCO2が安全に地下固定できることが明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Greenhouse Gas Control
巻: 107 ページ: 1-9
10.17632/m96d5b8d33.3