研究課題/領域番号 |
17H01292
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
神田 学 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90234161)
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研究分担者 |
バルケズ アルビンCG 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特任講師 (30754783)
小田 僚子 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (50553195)
稲垣 厚至 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (80515180)
仲吉 信人 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 講師 (90706475)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 都市気象 / グローバル展開 / 地球温暖化 / ヒートアイランド |
研究実績の概要 |
1) 汎用的都市気象解析を用いたメガシティー30地点の気候シミュレーション:汎用的都市気象解析手法を用いて、世界の30地点のメガシティー気候再現計算を行った。メソスケール解析(解像度1km・広域都市全体)は、過去10年間の気候再現を目的とした「再現計算」および都市域を都市化以前の支配的土地利用に完全に置き換えた「都市化以前計算」の2通りを行った。 2) メガシティー30地点における都市・地球2つの温暖化のグローバルな要因分析:上記で行った、メソスケール解析の「再現計算」および「都市化以前計算」の2ケースから、地球温暖化に依存しない都市温暖化による気温上昇量を得ることができる。30都市の気温上昇量と、各都市のインフラ形態、地理条件、気候区分、社会経済状態、などとの関連付けを行い、平成29年度に行った200地点の全球気温解析データを用いた要因分析の結果と比較・参照することによって、都市気象の機構と要因の包括的解明を行った。 3) メガシティー30地点における都市の変容予測シミュレーション:平成29年度に行った将来気候予測のための社会・経済シナリオ・適応策シナリオに基づき、メガシティー30地点における都市の変容予測(土地利用・人工排熱・建物粗度)を行い、次年度以降の将来予測計算のシナリオ別入力データとする。具体的には、アメリカの都市計画分野で開発されたSLEUTHモデルを用いた。これは、地形勾配・都市域・土地規制域・交通網の過去の時系列データを基にセル・オートマトンを用いて将来の都市域の変容を予測する物理モデルである。世界中の都市で適用実績があり、物理パラメータ値の制御により、容易に、コンパクト化、交通誘導型開発、などの都市シナリオを実現できるメリットがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画調書によれば今年度の計画は以下の3つに集約される。 1) 汎用的都市気象解析を用いたメガシティー30地点の気候シミュレーション 2) メガシティー30地点における都市・地球2つの温暖化のグローバルな要因分析 3) メガシティー30地点における都市の変容予測シミュレーション 1)については予定通り研究を遂行し、すでに口頭発表レベルでの成果発信を行っている。現在、論文執筆段階にあり極めて順調である。3)については、当初の予定を超える成果が得られており、すでにNature databaseという極めて質の高いジャーナル論文に採択され、全世界に向けてのデータベース公開を待っている段階である。2)については、すでに解析材料はそろい要因分析を進めているが、すでに発表済みの実測データの結果と差異も見られており、さらに詳しい要因分析が次年度において必要であることが判明した。これついては、ジャカルタを初めとする観測データとの比較照合を行うなどの方策を講じている。以上より、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
1) メガシティー30地点における都市・地球2つの温暖化のグローバルな要因分析:昨年度に引き続き、シミュレーション結果と観測データとの比較検討を詳細に行い、ヒートアイランド要因と球気候変動要因の明確な分離とそのメカニズム解明をグローバルなスケールで行う。 2) メガシティー30地点における将来都市気象予測:前年度に作成した都市変容予測シミュレーション結果を基に、グローバル・ローカルな社会・経済・適応策シナリオ毎に、擬似温暖化手法を用いて、メガシティー30地点における将来都市気象予測計算を行う。予測計算は、メソスケールおよびマイクロスケールに対してそれぞれ行う。30都市の結果を相互比較することにより、グローバルとローカルの両者の視点を各国の政策決定支援に役立てることが可能である
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