研究課題/領域番号 |
17H01341
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 研一 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (60324000)
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研究分担者 |
古川 森也 北海道大学, 触媒科学研究所, 准教授 (10634983)
鳥屋尾 隆 北海道大学, 触媒科学研究所, 助教 (80775388)
Siddiki Hakim 北海道大学, 触媒科学研究所, 特任助教 (60722650)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 二酸化炭素 / バイオマス / 触媒 |
研究実績の概要 |
天然物から直接入手できる炭素資源 (油脂,カルボン酸,CO2)および,CO2から製造可能な炭素源(メタノール)を入手容易な軽分子(水素,アンモニア,ニトリル)と反応させて,化学品を選択的に合成する下記反応(1)~(8)の構築を目的として研究を継続した。(1) カルボン酸水素化によるアルコール合成。(2) カルボン酸(油脂)水素化によるアルカン合成。(3) メタノールをメチル化剤に用いたサステナブルなC-C結合形成。(4) レブリン酸とニトリルからのラクタム合成。(5) 油脂、NH3からのアミド合成。(6) 油脂、NH3からのニトリル合成。(7) 油脂、NH3、水素からのアミン合成。(8) CO2水素化によるメタノール合成。2017年度には,(2),(4),(3)に有効な触媒を発見し論文報告した。2018年度は,反応(1),(5),(6),(7),(8)に有効な触媒の開発と反応(3)の適用性・汎用性拡張に有効な触媒の開発に成功し,その成果を論文にて発表した。 具体例として,Pt/ZrO2は種々のトリグリセリドの脂肪族アミン類への変換に有効であった。Hβ-150は種々のトリグリセリドの脂肪族アミドへの変換に有効であった。より高温でHβ-150を用いた上記反応を行うと,種々のトリグリセリドが脂肪族ニトリルへ選択的に変換された。Re/TiO2は水素加圧下で、種々のトリグリセリドの脂肪族アルコールへの変換も有効であった。 油脂の変換はバイオマスから量産製品(洗剤・シャンプー等)の成分(長鎖アルコール、アミン)を製造するための重要な工業プロセスであるが,従来法はメチルエステル,アミド,ニトリル等を経由する他段階工程で生産されるため,多量の廃棄物を伴う。我々の成果は,油脂を一段階で各種化学品に高収率で変換するはじめての固体触媒法である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書に記載したターゲット反応(1)~(8)の各々すべてに対して有効な触媒系の開発に成功したうえにその成果を学会発表だけでなく論文にて報告したから。
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今後の研究の推進方策 |
2017-2018年度には計画書に記載したターゲット反応(1)~(8)の各々すべてに対して有効な触媒系の開発に成功した。2019-2020年度は各系に共通する2種の重要素過程(カルボキシル基の水素化および縮合反応)に対して、反応機構と構造活性相関の研究を行い,活性支配因子の解明と触媒設計指針の構築を行う。
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