研究実績の概要 |
天然物から直接入手できる炭素資源および,CO2から製造可能な炭素源を入手容易な軽分子と反応させて,化学品を選択的に合成する下記反応(1)~(8)の構築を目的として研究を継続した。(1) カルボン酸水素化によるアルコール合成。(2) カルボン酸(油脂)水素化によるアルカン合成。(3) メタノールをメチル化剤に用いたサステナブルなC-C結合形成。(4) レブリン酸とニトリルからのラクタム合成。(5) 油脂、NH3からのアミド合成。(6) 油脂、NH3からのニトリル合成。(7) 油脂、NH3、水素からのアミン合成。(8) CO2水素化によるメタノール合成。2017年度には,(2),(4),(3)に有効な触媒を発見し論文報告した。2018年度は,反応(1),(3),(5),(6),(7),(8)に有効な触媒に関する成果を論文発表した。2019年度は,反応(8)に有効な触媒を発見するとともに、反応(1),(7),(8)に関して反応機構と構造活性相関の研究を行い、その成果を論文にて報告した。具体的には, CO2水素化によるメタノール合成に有効な2つの触媒を発見した。なかでもPt-MoOx/TiO2は最も活性が高く、150℃での平衡転化率に近いメタノール収率(73%)を示した。Re/TiO2の水素加圧下でのカルボン酸の水素化においては、金属状態のReナノ粒子と4価のRe酸化物の共存状態が重要であることと、TiO2担体はReの粒子径を小さくすることとReを上記の酸化状態に保つために重要な役割を担うことを明らかにした。ゼオライト触媒のトリグリセリド変換に対して、触媒の疎水性と強酸量の両方が重要な活性支配因子であることを明確化した。2020年度は反応機構と構造活性相関の研究を総括し、活性支配因子の解明と触媒設計指針の構築を行い、成果を論文にて発表した。
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