研究課題/領域番号 |
17H01349
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松永 三郎 東京工業大学, 工学院, 教授 (00222307)
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研究分担者 |
古谷 寛 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00190166)
宮崎 康行 日本大学, 理工学部, 教授 (30256812)
谷津 陽一 東京工業大学, 理学院, 助教 (40447545)
中西 洋喜 東京工業大学, 工学院, 准教授 (90361120)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 可変形状機能 / 超小型衛星システム / 伸展ブーム / 姿勢カメラ / 深層学習 / 展開構造 / スターシェード |
研究実績の概要 |
形状可変機能を利用した姿勢・軌道制御方法の確立を目指して、多自由度回転駆動型パネルによる姿勢制御の有効性を最短時間の観点で検討し、単一自由度時の制約を大幅に緩和でき最短時間特性に優れることを示して、RWやCMGとの併用制御方法を提案し、特徴を詳細に検討した。大気抵抗や太陽輻射圧を利用した軌道位相制御を提案し、編隊ミッションへの有効性を示した。小型形状可変機構の設計要求をまとめ機構仕様指針を示し、地上実験環境を整備した。次に、JAXA革新的衛星技術実証衛星1号機に搭載する多機能カメラ姿勢センサ DLASのフライトモデルの開発を行い、JAXAへ納品した。搭載ソフトウェアでは、ニューラルネットによる画像分類を利用した軌道上衛星の姿勢決定方法、光学センサを用いた高精度姿勢角速度決定方法について検討し、その成果をDLASに実装した。 また、長大高剛性を有する閉断面伸展ブームを実現するため、概念モデルの収納・展開実験を実施し、伸展力を維持しつつ肉厚を薄肉化し圧縮歪低減を行うことで、高伸展力を有し、高収納を実現できる新たな断面形状のブームを提案し、特に座屈強度を向上させた。CFRP展開ブームの収納時の剛性低下特性を実験的に明らかにし、数学モデルを作成した。さらに、塑性変形様の変形を繰り返し行える棒材モーファブルビームを用いた伸展式アームおよび空間移動機構について検討し、試作を実施した。展開膜面構造への応用として、曲率を有するデバイスによる形状特性を解析と実験で明らかにした。そして、簡単に展開し、分離・結合しやすい展開構造物を目指し、自己展開トラスの概念モデルの実験を通して、展開性向上のための知見を蓄積し、自己展開トラスに結合・分離機構を搭載した概念モデルを試作して動作実験を行った。また、展開構造を利用したミッションとして、系外惑星直接観測用スターシェードを取り上げ、形状解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形状可変機能を利用した新しい姿勢・軌道制御方法を提案して、その基本特性を示すことができ、それを実現するための構造機構の設計仕様への指針をまとめられた。多機能姿勢センサDLASのフライトモデルをJAXAの開発計画に沿って納品にこぎつけられ、ソフトウェア開発も概ね順調である。実験環境を整備して基本的な成立性を検討できた。長大高剛性伸展ブームの技術課題を明らかにし、新たな断面形状を提案できた。展開膜面構造の曲率を有するデバイスによる形状特性を解析と実験で明らかにできた。相対移動・接近,結合・分離の機能確認用のモデルの試作ができ、再構成宇宙システムの将来シナリオ検討の一環として、スターシェードを取り上げ、その概念検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
形状可変機能を利用した姿勢・軌道制御方法の確立を目指して、より高性能でロバストかつ利用のしやすい方法および有効な応用を検討するとともに、実用的な構造機構を検討し、BBMやEM相当品の開発を目指す。多機能姿勢カメラセンサは衛星に組み込んだ状態でのシステム試験や運用模擬試験を実施し、フライトに備える。長大高剛性伸展ブームを実際に試作し、その構造特性を明らかにするとともに、伸展・収納機構について検討する。再構成・形状可変の機能を有する宇宙システムの高機能化を実現する機構・制御法について検討を進めるとともに、将来シナリオについては、他研究者や企業等とも議論をすることで、検討を深めていく。
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