研究実績の概要 |
2017年に実施した体積2,000 m3の気球の膨張、破壊試験の結果の解析を進めた。気球内圧と大気圧の差圧を、気温、大気圧、および、気球の体積膨張の関数としてモデル化した。その値と実測値との差としてガス漏れ量を求めることによってガス漏れ量の上限値を求め、それが十分に小さいことを確認した。 皮膜に網をかぶせたスーパープレッシャー気球の形状を、変分法により網線長一定の条件下で体積が最大となる形状として求め、地上試験で計測した体積2,000 m3の気球の半径と子午線長の比と理論比とを比較することで定式の妥当性を検証した。また、従来の気球設計で用いてきた近似形状との違いは、皮膜の伸びで吸収できる範囲にとどまっていることを確認した。 体積6,400 m3の気球の地上試験を実施し、740 Paの耐圧性能を有することが確認された。気球重量は93 kgと軽く、この耐圧性能は70 kgの機器を搭載して高度27 kmを飛翔する際に要求される値の倍に相当する。 体積7,000 m3のスーパープレッシャー気球を豪州で飛翔させる計画を立案し、実施が採択された。地上試験の結果を踏まえて尾部の構造を改良し、飛翔試験用の体積7,000 m3の気球を制作した。
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