研究課題/領域番号 |
17H01355
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
谷 和夫 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50313466)
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研究分担者 |
岡安 章夫 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20213994)
池谷 毅 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20416746)
稲津 大祐 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30462170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海洋資源 / 資源開発工学 / 揚鉱 / 鉱石 |
研究実績の概要 |
テーマ(1) ポンプ圧送性と鉱石保持性を調べる手法の開発: 提案する揚鉱システムの実現可能性を確認するために行う揚鉱実験に使用する小型揚鉱模型実験装置(模型試作品)を設計・作製した。長さが1メートルで内径が50ミリメートルのライザー管の中を密度と粒度(最大径25ミリメートル)が異なる球形の鉱石モデルが上昇する様子を観察する。鉱石モデルがライザー管内を上昇する速度を計測するためのRFID(Radio Frequency IDentifyer)システムの開発にチャレンジしたが,好適なRFタグとアンテナを選定する段階までには至らなかった。ただし,最も有望な計測方法であるとの感触を得たので,適切な周波数帯の選択を検討する。 テーマ(2) 揚鉱に好適なキャリア物質の開発: さまざまなキャリア物質(粘性流体と粒状物質の組合せ)について鉱石保持性能を検討するために,管状の容器をキャリア物質で満たして,その中で鉱石モデルの沈降を観察した。この沈降実験では,密度と粒度が異なる球形の鉱石モデルの沈降挙動(沈降時間と沈降距離の関係)を調べた。その結果,粘性流体のみの場合に比較して,細粒分を多く含むキャリア物質ほど鉱石保持性能が高いことが分かった。 テーマ(3) 移送メカニズムの解明と数値シミュレータの開発: キャリア物質中の鉱石モデルの挙動をシミュレーションする数値解析モデルとして格子方の1つであるExplicit-Moving Particle Simulation(E-MPS)を選択した。静的な条件下(管状容器内の静水)における計算の安定性について主に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
テーマ(1) ポンプ圧送性と鉱石保持性を調べる手法の開発については,揚鉱実験で鉱石モデルを計測する方法として当初計画していたレーザーを用いた液浸法(LAT)が使えないことが分かったため,代替手法としてRFIDシステムを活用する方法の開発に取り組んだ。しかし,適切なシステムの構築に時間が掛かっている。 また,テーマ(3) 移送メカニズムの解明と数値シミュレータの開発についても,鉱石モデルのように巨大な粒子とキャリア物質中の粒状物質のように細かい粒子を同時にモデル化が可能な解析方法の開発は容易ではなく,安定的に計算ができる方法の開発に手間取っている。
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今後の研究の推進方策 |
テーマ(1) ポンプ圧送性と鉱石保持性を調べる手法の開発については,平成30年度にはRFIDシステムの技術が確立したので,揚鉱実験の実施が可能となった。この計測手法は,揚鉱実験だけでなく,鉱石モデルの沈降実験及び引上げ実験にも活用が可能であるため,これらの実験でも鉱石モデルの挙動を高い精度で把握することが可能になった。 また,テーマ(3) 移送メカニズムの解明と数値シミュレータの開発についても,これまでの検討によってExplicit-Moving Particle Simulation(E-MPS)の利点・欠点が明らかとなり,プログラムの改善が効率的に行えるようになった。
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