研究課題/領域番号 |
17H01361
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 謙太郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40512083)
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研究分担者 |
安川 和孝 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (00757742)
臼井 洋一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球深部ダイナミクス研究分野, 研究員 (20609862)
町田 嗣樹 千葉工業大学, 次世代海洋資源研究センター, 上席研究員 (40444062)
大田 隼一郎 千葉工業大学, 次世代海洋資源研究センター, 主任研究員 (70793579)
藤永 公一郎 千葉工業大学, 次世代海洋資源研究センター, 上席研究員 (90409673)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 海底鉱物資源 / 同位体 / 年代決定 / 化学データ解析 / 深層海流 |
研究実績の概要 |
本年度は、「コバルトリッチクラスト」,「マンガンノジュール」,「レアアース泥」という 3 つの海底鉱物資源すべてについて、以下の結果を得た。
(1)南鳥島EEZ内において調査船「よこすか」によるマンガンノジュールをターゲットとした航海、および調査船「かいめい」によるレアアース泥およびコバルトリッチクラストをターゲットとした航海を実施し、試料を採取した。(2)上記航海により新たに採取されたマンガンノジュール、およびコバルトリッチクラストコアの全試料について、X線CTによる分析を行った。また、5本のレアアース泥コアから系統的に採取された135試料全てについて、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)による主成分・微量元素分析を行った。(3)これまでに入手済みのマンガンノジュール試料のX線CT分析結果の解析から、南鳥島EEZに分布するマンガンノジュールは、最大5層の酸化物層を持つことが明らかとなった。(4)同じくX線CT分析による核の解析も行った。その結果、南鳥島EEZのノジュールには、泥の塊を核とするもの、岩石片を核とするもの、サメの歯を核とするものなどがあり、量的には泥の塊を核とするものが多数を占めることがわかった。(5)ODP Site 1149、1179、777コアの分析データの解析から、北西太平洋レアアース泥が化学的特徴の異なる二つの層から成っており、それらは共通の層序を示すことが明らかとなった。この結果、これまでレアアース泥として一括していた深海堆積物は、時代もしくは堆積場の変遷に伴って性質が変化したことがわかった。(6)ODP Site 1149および1179コアの試料について、イクチオリス層序年代に基く年代決定を試みた。その結果、両サイトのレアアース泥が白亜紀末から古第三紀にかけて堆積したことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試料の採取およびそれらの分析・解析について、当初計画どおり順調に進展している。また、X線CT分析およびICP-MS分析を完了したマンガンノジュール試料のデータ解析からは、ノジュールの起源およびレアアース泥を含む下位の堆積物との成因的関連を示す興味深い知見が得られている。さらに、南鳥島EEZから採取されたピストンコアならびにDSDP/ODPサイトの深海掘削コアから採取されたレアアース泥試料の分析と、その分析データ解析および年代決定も着実に進展しており、これらの結果からも、レアアース高濃集ピークを含むレアアース泥の成因および濃集機構の解明につながる重要な証拠が得られつつある。これらを総括的に評価すれば、研究の進展は概ね順調であると言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、引き続き試料の採取とその分析を進める。マンガンノジュールは、酸化物層ごとの化学組成変化をさらに詳細に明らかにすることで、成長の履歴を解明していくと共に、核の化学分析も進め、核の実態解明とそのマンガンノジュール形成に果たす役割の解明につとめる。さらに、既存データの解析の進展に伴って、重要な層境界についての年代決定が重要となってきていることから、マンガンノジュール試料およびレアアース泥試料のOs同位体分析およびイクチオリス層序解析による年代決定も進める計画である。
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