研究課題
核融合炉高熱流束機器用材料であるタングステン(W)における中性子照射影響についてのデータを収集するために、日米協力事業PHENIX計画において米国ORNLのHFIR炉を用いて中性子照射した純W材およびその合金材の照射前後の材料特性と微細微細組織についてのデータを収集し、整理し、論文として発表した。原子炉で照射した試験片の微細組織発達については、日本に試験片を輸送して行う予定であったが、コロナ禍による米国側研究所内の手続き等の遅延により当初予定の期間内で終了できそうもなかったため、くり越しを行ってきた。令和4年(2022年)1月に大洗の金属材料研究所附属量子エネルギー材料科学国際研究センターに試験片が到着したので、今年度は照射後試料の微細組織観察を行いその結果を報告した。(1)用いた試料の照射前の結晶粒および粒内亜粒界組織に対して照射材における組織変化の挙動、室温での固さや電気抵抗率測定を行い、さらに電子顕微鏡による微細組織観察によりボイドや転位ループ、照射前の亜粒界組織や転位との関係を調査した。その結果、600℃および800℃では、受入まま材においては照射前の亜粒界組織が照射後も保存され、ボイドや転位ループ等の照射欠陥集合体に対応した照射硬化などが得られた。一方、1100℃照射では亜粒界組織や粒内転位が回復し、さらに硬化に寄与する欠陥集合体としてはボイドのみが観察された。この内容については、プラズマ核融合学会、金属学会、原子力学会において報告した。(2)荷電粒子照射については、東北大学工学研究科のダイナミトロン加速器での水素イオンと量子科学技術研究開発機構高崎研のTIARAでのWの自己イオンを使って、照射温度800℃、最大1dpaまで照射実験を行い、微細組織観察を実施し、それらの相互比較を行った。これらの結果についてまとめて論文として出版した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
Journal of Nuclear Materials
巻: 575 ページ: 154239
10.1016/j.jnucmat.2023.154239
巻: 566 ページ: 153740
10.1016/j.jnucmat.2022.153740
Journal of Alloys and Compounds
巻: 901 ページ: 163419
10.1016/j.jallcom.2021.163419
Nuclear Materials and Energy
巻: 30 ページ: 101122
10.1016/j.nme.2022.101122
巻: 553 ページ: 153009
10.1016/j.jnucmat.2021.153009