研究課題/領域番号 |
17H01376
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
児玉 竜也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60272811)
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研究分担者 |
長瀬 慶紀 宮崎大学, 工学部, 教授 (90180489)
石井 知彦 香川大学, 創造工学部, 教授 (90285718)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 太陽集熱 / 熱化学サイクル / 水分解 / 水素製造 / ソーラー反応器 / 反応性セラミック |
研究実績の概要 |
1)流動層式ソーラー水熱分解器の開発 低温活性を有するMnドープ型セリアの真球状微粒子の大量合成のための合成条件を検討した結果、これまで使用していた原料の金属塩では、その潮解性のため大型合成時には問題が生じることが見出された。そこで使用する金属塩種の検討を行い、これを変更する等の改良によりMnドープ型セリア真球状微粒子を大量合成できる工業工程を開発することに成功した。一方、宮崎大学のビームダウン型太陽集光器を用いて真球状セリア微粒子によるソーラー反応器の試験を行ったところ、真球状粒子に流動粒子を変えたことで反応器での粒子流動に支障が起こることが見出された。この問題を解決するにはガス分散板を真球状微粒子用に再設計することが必要と考えられた。そこで種々のオレフィス型分散板による真球状セリア微粒子のコールドモデルによる流動実験と数値解析を行い、ガス分散板の再設計を行った。しかし、再設計したガス分散板を、これまでの反応器を切断・再溶接して導入することは、反応器壁の焼き付きが激しいことから困難と判断された。そこで、新しいガス分散板による5kWth小型ソーラー反応器をMnドープ型セリア真球状微粒子の試験用に新たに設計し、作製を開始した。 2)発泡体デバイス式ソーラー水熱分解器の開発 他金属ドープ型セリア微粒子によるジルコニア発泡体デバイスの被覆法として蒸発乾固法を新たに検討した。作製した発泡体デバイスを小型反応器に装填し太陽集光シミュレータで試験したところ、従来の共沈法微粒子のスピンコート法よりも高い活性と耐久性を得ることができた。従来の方法よりも簡便な方法であり、合成時間を短縮できる優良な発泡体デバイスの作製法を見出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
流動層式ソーラー水熱分解器のガス分散板部分を再設計し反応器を改良する必要が生じた。そのため、改良(再設計)したガス分散板を用いた流動層ソーラー水熱分解器を新規に作製する必要があり、遅れが生じた。しかし、新規反応器の作製は最終年度中に完了するので、当初の計画通り、最終年度に新規の反応性セラミック粒子で反応器の性能試験を行える予定である。一方、発泡体デバイス式ソーラー水熱分解器の開発の方は遅れはなく順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新たに作製した流動層ソーラー水熱分解器、及び、これまで用いてきた発泡体デバイス式ソーラー水熱分解器を用いて、Mnドープせリア等の低温活性を有する他金属ドープ型セリアによる真球状微粒子と発泡体デバイスの試験を行い、その結果を活用して数値解析等から、流動層ソーラー水熱分解器については数百kWth~MWth級の大型システムの、発泡体デバイス式ソーラー水熱分解器については100kWth以下の小型システムのプロトタイプの設計を行う。
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