研究課題
始原生殖細胞特異的なレポーター遺伝子をもつES細胞の確立および始原生殖細胞の誘導を行った。レポーター遺伝子としてBlimp1およびNanos3遺伝子座の下流にtdTomatoおよびGFPをノックインした(それぞれBlimp1-tdTomato(BT)およびNanos3-EGFP(NG)とする)。これらを用いて始原生殖細胞の分化誘導を試みた。分化誘導には成長因子のほか、転写因子の強制発現による始原生殖細胞の分化誘導も試みた。強制発現系による分化誘導を行うために、ヒトのSox17、Blimp1、TFAP2Cを発現するベクターをコモンマーモセットES細胞に導入した。これらの遺伝子はそれぞれ独立した薬剤により任意のタイミングで発現を誘導できる。これらの転写因子の強制発現により、およそ20%程度の細胞にBTおよびNGの発現が認められた。次に、これらを陽性対照として、成長因子による誘導を試みた。その結果、ヒトやマウスのES細胞を用いた誘導方法では、コモンマーモセットES細胞からは始原生殖細胞が誘導できないことが明らかとなった。これは現行の培養条件下におけるコモンマーモセットES細胞が始原生殖細胞分化のために十分な未分化性を維持していない可能性を示唆していた。そこでES細胞をよりナイーブな状態に置くことを目的に培養条件の検討を行った。
3: やや遅れている
担当する予定であった研究協力者が進路変更することになり、同様の知識と技術を要する人員の確保に時間を要した。新たな人員の確保をしたのちは、レポーター遺伝子をもつES細胞の樹立や始原生殖細胞の誘導実験に関してはおおむね予定通りに進行している。しかしながら、コモンマーモセットES細胞の性質はヒトやマウスとも異なり、独自の条件検討の必要性が生じた。このため、ES細胞の培養条件から検討を行う必要性が生じた。
新たに研究に参画する大学院生を確保し、本研究の推進にあたる。コモンマーモセットのES細胞の培養条件の検討に必要な様々なシグナル阻害剤はすでに購入しており、関連研究などを参考に培養実験を遂行する。またこれらの培養の結果得られるES細胞について遺伝子発現を解析し、これまでに報告されているコモンマーモセットの初期胚の遺伝子発現と比較する。
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