研究課題/領域番号 |
17H01412
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笠井 亮秀 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (80263127)
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研究分担者 |
東 信行 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (40262977)
益田 玲爾 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60324662)
山下 洋 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60346038)
山中 裕樹 龍谷大学, 理工学部, 講師 (60455227)
亀山 哲 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (80332237)
木村 伸吾 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90202043)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ニホンウナギ / 環境DNA / 河川 / 分布 |
研究実績の概要 |
本研究では、環境DNAを用いて、日本全国の河川において、絶滅危惧種1B類に指定されているニホンウナギの分布を確定し、そのバイオマスを推定することを目的としている。 日本の陸水域には、ウナギ属としてニホンウナギの他にオオウナギなどの在来他種と、種苗由来のヨーロッパウナギ等の外来種数種が生息している可能性がある。現在のところ、これらの外来種まで含めて種特異性を担保したニホンウナギの環境DNA検出プライマーは発表されていなかった。そこでまず、これらの同属他種を誤って検出することのないよう、ニホンウナギと同属他種のDNA塩基配列をデータベースから収集し、ニホンウナギにしか見られない特徴的な塩基配列の領域を狙ったプライマーを設計した。プライマーを合成したのち、国内の河川に生息している可能性のあるウナギ属全種の肉片から採取したDNA試料をもとにPCRを行って、確実にニホンウナギのDNAしか増幅しないことを確認することで、ニホンウナギの種特異的プライマーを作成した。 全国の河川下流~河口域において採水を行っている。環境条件として、水温、電気伝導度も同時に測定した。水中有機物のDNAは分解速度が速いことが知られているため、採水現場でサンプルを速やかに濾過した。濾紙は分析まで冷凍で保存し、研究室に持ち帰り、上記のプライマーを用いてDNA分析を行った。2017年度は、76河川で採水したサンプルのDNAを分析した。その結果、北海道の河川からはDNAは検出されなかった。また、北東北日本海側では検出されなかったが、太平洋側では検出された。よって太平洋側では青森、日本海側では秋田以南がニホンウナギの分布北限と推定される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始当初に計画していたニホンウナギのプライマーが完成した。また、北日本を中心に精力的なサンプリングを行った結果、ニホンウナギ分布の北限はほぼ特定された。
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今後の研究の推進方策 |
河川における環境DNAサンプリングを、東北海道、北北海道、岩手、下北半島北部、秋田~新潟に拡張し、より詳細な分布を調べる。 室内における飼育実験を行い、水温変動がニホンウナギのDNA放出量に及ぼす影響を調べる。 天然河川における飼育実験を行い、流程に沿った環境DNAの流下と減衰過程を調べる。 捕獲したニホンウナギ個体から耳石を摘出し、炭素・酸素同位体比を調べることにより、天然個体と放流個体の割合を求め、天然のニホンウナギの分布域を推定する。
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