研究課題
本研究は、細胞外のWntリガンドが膜受容体に認識され、その情報が細胞膜を横切って伝達されて細胞の挙動を左右する引き金を引くメカニズムを原子分解能の立体構造レベルで明らかにすることを目指し、4つの業務項目に従って研究を進めてきたが、昨年度に得られた結果を踏まえ、2つについては終了とし、残る以下の2項目について実施した。(項目1)ほ乳類Wnt特異的バインダーの取得とそれらの機能解析:東京大学の菅裕明教授が開発した特殊環状ペプチドスクリーニング法「RaPIDシステム」を応用し、マウスWnt3aに対する環状ペプチドバインダーを合計13種単離することが出来た。これらペプチドのうち一つ(PD04)はWntシグナル伝達阻害活性を持つことが明らかになり、このペプチドの配列の一部をランダム化したライブラリーを用いて改変をおこない、親和性が5倍程度上昇した変異体(PD04r1)を得ることに成功した。この一連の結果を論文投稿し、年度内に受理されて発表することが出来た。(項目2)Wnt-Fz CRD-2者、およびWnt-Fz-LRP6ec3者複合体(細胞外装置)の構造解析: Wnt-Fz CRD2者複合体の結晶構造(哺乳類Wntの立体構造解析としては世界初)を達成し、この成果をNature Struct Mol Biol誌に発表することができた。3者複合体については、2者複合体の立体構造をヒントにLRP6に結合するWnt3上の領域を予想し、その領域に相当する合成ペプチドを作製して上記の2者複合体結晶へのペプチドソーキングによって3者複合体結晶化を目指した。結晶化と回折データの取得まで果たしたが、残念ながら得られた構造中にはLRP6ペプチドの電子密度は観測されなかった。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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