研究課題
1)小胞体ストレスセンサーOASISの解析;OASISはアストロサイトを長期間培養することで誘導されてくる遺伝子の1つである。癌細胞におけるOASISの働きを調べた。①OASISのプロモーター領域の高度なDNAメチル化がみられる癌細胞株を見出した(U251Mグリオブラストーマ、乳癌細胞株MCF7など)。それら細胞はOASISの発現は消失または低下していた。②データベースを用い、OASISのDNAメチル化レベルを解析したところ、いくつかのヒト癌組織において高度に上昇していることが明らかになった(乳癌、子宮頸癌、メラノーマ、直腸癌など)。③OASISが高度にメチル化を受けている癌細胞株U251MG細胞にエピゲノム編集用のプラスミドを導入した結果、OASIS遺伝子が発現上昇し、その転写ターゲットであるp21も誘導されて細胞増殖を停止させることがわかった。2)これまでの研究で、小胞体ストレスセンサーBBF2H7が活性化して膜内切断を受ける際に、N末端およびC末端断片の中間部である小ペプチド(マイクロフラグメント)が産生されることを見出している。この小ペプチドの生理作用について解析を行った結果、アミロイドβタンパク質(Abeta)と同じように凝集性が高く細胞毒性を示すことがわかった。さらにAbetaとマイクロフラグメントを混ぜてしばらく静置させておくとAbetaの凝集が促進されることがわかった。3)ムコ多糖症原因分子イズロン酸-2-スルファターゼ(IDS)の解析; HRD1の機能を阻害するとIDSはリソソームへの移行が促進し酵素活性の一部が回復することを見出した。そのメカニズムとして、小胞体関連分解を抑制することでカルネキシンサイクルが高度に活性化し、foldingされにくかった変異IDSの一部がfoldingされることを明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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