現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IRE1αIRE1β二重破壊メダカは、孵化前に3つの表現型を示し、孵化後、死に至る。すなわち、肝臓(肝臓マーカーFabp10aの発現量が67%低下)、孵化腺(孵化酵素LCEの発現量が60%低下)、脊索(尾が24%短い)それぞれの発達が不十分なためである(eLife, 2017)。小胞体ストレスセンサーIRE1αとPERKの小胞体ストレス感知機構が同じかどうか明らかにするために昨年度に作製したコンストラクトをメダカ受精卵に導入し、何度も交配を重ねて2つのキメラタンパク質(P-P-I、P-I-I)ならびにIRE1αを発現させることができた。 小胞体関連分解において、基質は小胞体膜貫通タンパク質複合体を通って小胞体から細胞質へ逆行輸送される。この複合体のコンポーネントはDerlin1/2/3やHerp1/2のようにファミリーを形成していることが多く、役割分担が不明であった。これまで、ヒト大腸がん由来細胞細胞を用いて、SEL1L、Derlin1, Derlin2, Derlin3遺伝子破壊細胞を作製して解析してきた。これらに加えて新たに、小胞体膜貫通型ユビキチンリガーゼであるHRD1, gp78の遺伝子破壊細胞ならびにHRD1・gp78二重遺伝子破壊細胞を作製し、その解析を開始した。さらに、構造異常糖タンパク質の分解に於いて極めて重要な役割を果たす2段階マンノーストリミングの最初のステップを触媒すると考えているEDEM2が、あるチオレドキシンタンパク質Aとジスルフィド結合を介して複合体を形成していることを見出したので、その意義を解析している。
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