研究課題
1)ノードの繊毛が正しく形成される機構:ノード繊毛が後傾するために必要な、基底小体が細胞の後方へ移動する機構を調べたところ、微小管やアクチンなどの細胞骨格が移動に関与していることがわかった。2)繊毛が運動性を獲得する機構:Ccdc11(Cfap53)を欠損するノード繊毛では、Docking complexの因子Ttc25が軸糸内から失われていたが、気管繊毛では軸糸内に保たれていた。この違いが、なぜノード繊毛だけが、その運動性にCfap53を必要とするのかを説明していた。3)ノード脇の不動繊毛が水流を感知する際のカルシウムの役割:GCaMP6を用いて、不動繊毛中のCa2+をモニターしたところ、ノード左後方の不動繊毛においてCa2+の流入を検出した。このCa2+流入は、水流やPkd2チャネルに依存していた。また、その不動繊毛を持つノード細胞では、細胞質内のCa2+も上昇していた。4)不動繊毛が水流を感知すると、Crown cellに何が起こる?:ds(destabilized)VenusのORFにCerl2の3’-UTR(1.2kb)配列を加えたtransgeneを用いて、ノードのCrown cellが水流に反応してCerl2 mRNAが崩壊する機構を調べた。その結果、Cerl2 mRNAの崩壊にはBicc1と呼ばれるRNA結合タンパク質やCa2+シグナルが関与することがわかった。5)Epigeneticsを制御する因子の母性因子としての役割:卵細胞で発現する5つのepigenetic regulatorについて、卵細胞特異的KOマウスとzygotic KOマウスを作成し、そのphenotypeを調べた。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子改変マウスの作成が遅れているが、解析については概ね予想通りに進んでいる。
1)ノードの繊毛が正しく形成される機構:微小管やアクチンなどの細胞骨格の関与を明確にするために、チュブリンやアクチンの動態を調べる。また、PCP因子の1つDchsousの役割を知るために、Dchasous1,2の変異マウスを作成する。2)繊毛が運動性を獲得する機構:Ccdc11(Cfap53)の細胞内・繊毛内局在を、超高解像度の顕微鏡で明らかにする。また、なぜノード繊毛だけがCfap53を必要とするのかを明らかにするために、気管繊毛細胞でのみONになっている繊毛運動に必要な因子の中から、気管繊毛細胞でのみONになっている因子を探索する。3)ノード脇の不動繊毛が水流を感知する際のカルシウムの役割:ノード左後方の不動繊毛におけるCa2+の流入をブロックすることで、そのCa2+流入の役割を知る。4)不動繊毛が水流を感知すると、Crown cellに何が起こる?:Bicc1と呼ばれるRNA結合タンパク質が、Cerl2 mRNAの3'-UTRに結合するのかを、生化学的に検証する。5)Epigeneticsを制御する因子の母性因子としての役割:卵細胞特異的KOマウスとzygotic KOマウスでphenotypeを示す遺伝子を探索する。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 4件、 招待講演 4件)
Royal Society Open Science
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