研究課題/領域番号 |
17H01464
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 啓史 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40206652)
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研究分担者 |
早川 智恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (10725526)
豊田 栄 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30313357)
磯部 一夫 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30621833)
服部 祥平 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (70700152)
伊藤 英臣 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70748425)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水田土壌 / 窒素肥沃度 / 鉄還元菌 / 還元的窒素変換反応 / 土壌微生物 |
研究実績の概要 |
Ⅰ.窒素無施用水田における窒素動態と窒素固定・DNRA微生物、その制御要因の解析 1.窒素動態解析:新潟県農業総合研究所内の肥料長期連用試験水田の窒素無施用区(NN区)と化学肥料施用区(CF区)土壌を用いて有機物(稲わら)添加の有無や温度、水管理を変化させた様々な条件のマイクロコズムを構築し、それらの窒素固定活性への影響とその変動をアセチレン還元活性法によって調べた。その結果、有機物を添加して土壌Ehが下降し還元された鉄の量が増加している際に活性が最大となった。これらのことから、本章において検出された窒素固定活性は鉄還元菌に由来する可能性が高く、冬季期間にも鉄還元菌による窒素固定が行われていると考えられた。 2.窒素固定・DNRA微生物解析:前年度に取得した窒素固定遺伝子を保有しているAnaeromyxobacter sp.の窒素固定活性を、培地条件下および水田土壌マイクロコズム条件下において調査した。その結果、どちらの条件においてもこれらは窒素固定活性を示し、土壌中においても窒素固定を行っていることが示唆された。 Ⅱ.脱窒反応で生成したN2Oの固定反応の検証 Bradyrhizobium 46を用いて15N2Oを添加・培養し、気相部の15N2O濃度、15N2濃度、菌体の15N同位体比を経時的に測定した。培養時間と共に15N2Oは減少し、15N2が増加した。気相部において、15N2O減少量と15N2生成量の差分と、菌体に同化された15N量について比較してみると、どの培養時間においても、還元された15N2Oの量と生成された15N2の量の差分の方が菌体に同化された15Nの量よりも多いことが確認された。これらはN2Oがnif遺伝子を有する脱窒菌株によって同化的に還元されていることを強く支持する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いずれの項目についてもほぼ計画通りに進行しており、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
水田土壌における鉄還元細菌の窒素固定活性は、土壌への鉄の添加により高まることが期待される。このことを、室内系土壌ミクロコズム試験ならびに圃場試験で確かめる。 これまでに水田土壌から分離してきた、窒素固定活性を有する鉄還元細菌について性状解析を進める。 N2Oを同化することが確かめられたBradyrhizobiumについて、nosならびにnif遺伝子破壊株を作成して、N2O同化経路を明らかにする。
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