研究課題/領域番号 |
17H01468
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
河野 憲二 奈良先端科学技術大学院大学, 研究推進機構, 特任教授 (50142005)
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研究分担者 |
木俣 行雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (60263448)
都留 秋雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (80273861)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小胞体ストレス / 糖尿病 / プロインスリン / 翻訳休止 / 特殊スプライシング |
研究実績の概要 |
(1)膵島β細胞におけるIRE1及びATF6経路活性化の生理的役割 IRE1αを膵島β細胞のみでKOしたマウスから調製樹立した膵島β培養細胞 (MIN6 (Ire1αΔR/ΔR, Atf6α+/+))を用いてインスリンのフォールディング、分泌におけるIre1α の役割を検討したところ、小胞体内でのプロインスリンのPDI familyによるフォールディングが大きく影響を受けることが分かった。そこでPDI familyの中でプロインスリンのフォールディングに関わっていることが予想されたPDI, PDIR, P5, ERp44, ERp46遺伝子すべてをMIN6 (Ire1αΔR/ΔR, Atf6α+/+)に強制発現したところ、プロインスリンの分泌の回復が観察された。さらにIre1α の標的分子であるXBP1s が、これらのPDI family遺伝子上流に結合することを、chIP(chromatin IP)解析により確認した。これらの結果から、膵島β細胞で生理的に小胞体ストレスが高いレベルで活性化しており、この活性化によりその下流の5つのPDIs が高レベルで産生され、プロインスリンのフォールディングを正常に行っていることが明らかとなった。 (2)翻訳休止と連動した新規SRP経路の解析と小胞体ストレス応答 IRE1αの標的因子であるXBP1u mRNAは、XBP1uの翻訳が翻訳休止配列(PS)により休止することにより、その上流にある疎水性領域HR2にSRPが結合し、XBP1u mRNAが小胞体膜のトランスロコンに運ばれることにより、IRE1αによる効率よい特殊スプライシングを受ける。翻訳休止がおきているときにPSはリボソームトンネル内にあり、リボソームタンパク質RPL3, RPL4, RPL7と相互作用していることが、免疫沈降-質量解析により明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種の膵島β細胞MIN6 (Ire1αΔR/ΔR, Atf6α+/+)、MIN6 (Ire1αfl/fl, Atf6α-/-)細胞はすでに樹立しておりMIN6(Ire1αΔR/ΔR)では、PDI familyの誘導阻害によりプロインスリンのフォールディングがうまくいかないことも明らかとなった。これからIRE1α, ATF6αの2重ノックアウトによる影響をみる予定だが、米国Peter Walter らのグループが取得した ATF6αの特異的阻害剤Ceapinを用いて両者を阻害する実験を共同研究として行っている。また、XBP1uの研究に関しては、リボソームタンパク質RPL3, RPL4, RPL7のノックダウンで、XBP1uの翻訳休止が弱くなることが観察され計画は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)膵島β細胞におけるIRE1及びATF6経路活性化の生理的役割 5つのPDI family (PDI, PDIR, P5, ERp44, ERp46)のうち、どのPDIがプロインスリンのフォールディングに重要なのかを明らかにする。今までに野生型のβ細胞に5種のPDIを同時に発現させると、インスリン分泌が15-20%程度増加することが明らかになっているので、そのアッセイ系を使う予定である。IRE1α、ATF6αの2重KOマウスではさらに顕著なインスリン分泌の抑制が見られる。それをATF6αの特異的阻害剤Ceapinを用いて検討する。 (2)翻訳ポージングと連動した新規SRP経路の解析と小胞体ストレス応答 前年度得られた、相互作用していると考えられるRPL3, RPL4, RPL7のノックダウン実験の再現と、RPL4のリボソームトンネル部分に露出しているアミノ酸に変異を入れ、XBP1uの翻訳休止が解除されるかどうかについても検討を加える。
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