小胞体ストレス応答のIRE1-XBP1経路において、ストレスの有無に関係なく翻訳途上のXBP1蛋白質が小胞体膜上に一時的に繋留される機構について解析した。XBP1蛋白質のC末端側には、翻訳を一時的に停止する配列があり、この翻訳休止が小胞体ストレスの効率良いシグナル伝達に必須であることを明らかにしてきた。この翻訳休止機構に関し、翻訳休止ペプチドとリボソームとの立体構造をクライオ電子顕微鏡により解析したところ、XBP1の翻訳休止配列中にあるPro(244)が、リボソーム蛋白質uL4のArg(71)と相互作用していることが明らかとなった。そこで、XBP1とリボソームuL4それぞれのアミノ酸置換変異蛋白質を細胞に発現させ、XBP1蛋白質の翻訳休止が起きるかどうかを調べたところ、その仮説を支持する結果を得た。このことから、細胞はいつストレスが来ても対処できるように、蛋白質の翻訳ポージングという方法を用いて常に準備してストレスに備えていると考えられる。
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