研究課題
R2年度までの研究において、Edwardsiella tarda感染時のヒラメおよびトラフグの血清および体表粘液におけるリゾチーム活性がトラフグで有意に高かった。しかし、同血清のE. tardaへの毒性についてはあまり大きな違いはなかった(河野分担)。この結果は、病原細菌に対するトラフグの生体防御能の方がヒラメより高く、特に自然免疫に違いがあると考えられた。一方、新規サイトカイン遺伝子の機能解明の一環として、未解明であったIL-17A/F1の役割を理解するために、IL-17A/F1ノックアウト(KO)メダカを作製し、腸内細菌叢について野生メダカとの比較解析を行ったところ、IL-17A/F1-KOメダカは、野生メダカと比べて明らかに異なる細菌叢の組成を示し、Plesiomonas属などの日和見感染病原菌が増加していた。さらに、IL-17A/F経路についてより詳細な役割を理解するために、IL-17受容体A(IL-17RA)遺伝子についても変異メダカを作製した。R2年度では、IL-17RA-KOメダカの腸管におけるトランスクリプトーム解析とメタゲノム解析を実施したところ、種々の免疫関連分子や消化酵素遺伝子群の発現が野生型と比べて優位に減少していた。また、KOメダカの腸内細菌叢は、野生型と比べて明らかに異なる細菌叢の組成を示し、日和見感染病原菌が増加しており、IL-17A/F1-KOメダカの結果と類似していた(酒井・引間担当)。次に、トラフグとヒラメの腸管におけるIL-17A/F遺伝子について、E. tarda感染後の発現動態を比較したところトラフグの方が高かった(河野担当)。以上のことから、腸管内の日和見感染症原因菌などの増殖を抑制しいるIL-17A/Fが、トラフグに比べてヒラメでは低いために、腸内環境の健康維持に影響を及ぼしていることが示唆された。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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