研究課題/領域番号 |
17H01495
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
河端 俊典 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20335425)
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研究分担者 |
井上 一哉 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (00362765)
有吉 充 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 主任研究員 (10414442)
澤田 豊 神戸大学, 農学研究科, 助教 (60631629)
毛利 栄征 茨城大学, 農学部, 教授 (90373224)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | パイプライン / スラスト力 / 液状化 / 振動実験 / 遠心力模型実験 |
研究実績の概要 |
平成30年度は,1)曲管角度および管面摩擦が抵抗力に与える影響,2)ジオグリッドを用いたスラスト防護工法の形状寸法が抵抗力に与える影響,3)実際の施工条件下での曲管部の水平載荷挙動について解明するため,1G場での各種模型実験ならびに遠心力場での振動実験を実施した.具体的な成果を以下に述べる. 1G場での模型実験には鋼製土槽(W1000×L1100×H580mm)および外径70mmのアルミ製曲管を使用した.角度(30,90度)および管面摩擦の異なる4種類の曲管を対象に,密詰め地盤中で水平載荷実験を行ったところ,角度および管面摩擦の増大に伴い抵抗力は増大するものの,その影響はわずかであった.また,地表面に現れたせん断面より,管背面地盤は3次元的に拡大しつつ破壊することがわかった.また,ジオグリッドを用いたスラスト防護工法に関して,対策工の形状寸法を変えた9ケースを実施したところ,寸法の影響は明確に見られなかったが,対策工受働側地盤のせん断面は,管ではなく対策工端部から発生することがわかった.また,当工法の液状化地盤中での有効性を検証するため,スラスト力を負荷した状態で加振実験を実施したところ,前年度実施された緩詰め地盤条件と同様に,密詰め地盤条件でも,対策工上部から地表面までを砕石で埋戻した場合,間隙水圧が消散され,抵抗力の増加が確認された. 30G場の遠心模型実験には鋼製土槽(W400×L1350×H450mm)ならびに外形60mmのアルミ製管を使用した.現場での素掘施工を模擬するため,現地盤には細粒分を含む砂質土,埋戻し部には珪砂を用い,透水に関する時間相似則を満たすためメトローズで飽和した.30G場にて,スラスト力を負荷した状態で加振を行ったところ,埋戻し部の液状化と伴に管は変位するものの,非液状化層である現地盤の影響で水平変位は抑制され,浮上することが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の当初計画で掲げた遠心力載荷模型実験に加えて,1G場での各種模型実験を遂行した.これらの実験から曲管の水平変位時の力学挙動ならびにジオグリッドを用いたスラスト防護工法の設計に寄与する多くの知見を得た.このことから,現在までの進捗状況としては,概ね順調に進んでいるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
過年度の研究成果から,曲管部の耐震性を向上させるためには1)周辺地盤の液状化を防止すること, 2)周辺地盤を一体化し水平抵抗に寄与する領域を増大させることが重要であることが明らかとなった.1)については,現地盤が完全に液状化するような場合は少ないことから,埋戻し材料として砕石を用いることが有効であることがわかった.間隙水圧の消散を促進させるためには,地表面まで砕石を用いることが望ましいが,砕石は比較的高価であるとともに,掘削された現地盤を埋戻し材として全く利用しない場合,多量の残土が発生する.そこで,今年度は砕石の合理的な配置方法を明らかにするため,追加の遠心模型実験を計画する.また,2)について,周辺地盤を一体化させる方法として,ジオグリッドを用いた新たなスラスト防護工法を提案し,その有効性について検証してきた.しかしながら,過年度までに行われた水平載荷実験では,模型管が外形60mm,幅250mmと小さく,ジオグリッドの形状・寸法が抵抗力に及ぼす影響が明確に現れず,当工法により付加される抵抗力の算定手法が開発されていない現状にある.そこで,本年度,上記の遠心模型実験に加えて,外形200mmの曲管を新たに製作し,ジオグリッドの形状・寸法を変えた条件で水平載荷実験を実施し,付加抵抗力の算定手法を提案する計画である.
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