研究課題/領域番号 |
17H01500
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
近藤 直 京都大学, 農学研究科, 教授 (20183353)
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研究分担者 |
鈴木 哲仁 京都大学, 農学研究科, 助教 (00723115)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 牛肉 / コンピュータビジョン / 精密畜産 |
研究実績の概要 |
平成30年7月,飼育牛のデータ収集について検討した結果,瞳孔画像から得られる眼底色について,画像から牛の血中ビタミンA濃度(VA)を推定するための十分なデータを得るためには,カメラの光学系の改良が必要と判った。このため,カメラを改良して,画像によるVA推定は,①LEDを点灯したときの瞳孔収縮,②眼球表面での光反射,③眼底色により行うこととして,眼底画像も得られるようカメラの改良を行った。 改良したカメラは,偏光フィルタを付けないリング状LEDと,偏光フィルタを付けたLEDの両方を用いた。撮像は,カメラのフレーム取り込みに合わせて両LEDを点灯制御して行った。偏光フィルタを付けないリング状LEDを点灯したときは,LEDの光は対象を照射し,対象からの反射光はハーフミラーに反射してカメラで撮像される。このとき偏光フィルタに影響されない画像が得られる。偏光フィルタを付けた中央LEDを点灯したときは,対象から反射した光はハーフミラーに反射してカメラで撮像され,この画像は眼底の画像である。 カメラは牧場の飲水場に設置し,飲水中の画像を自動的に撮像する方式とした。実験は令和元年12月頃まで行い,得られた画像から抽出した画像特徴量を説明変数として偏最小二乗回帰(PLSR)によってVAを推定した結果,決定係数R2は0.62,二乗平均平方根誤差(RMSE)は,10.33 IU/dLであった。,
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の理由により平成30年度の実験開始は遅れたが,試作したカメラを牧場に設置したあとは,順調にデータを収集でき,本課題の終了年度までにVAの推定について目処がついた。今後はVA推定精度の向上をはかる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今回の実験は,牛舎に設置したカメラにより,牛が飲水に来たときの画像を自動的に撮影することにより行った。カメラは箱に入れ,ガラス窓から撮影するようにした。ガラス窓が水や埃によって汚れる恐れがあったので,ガラス窓にワイパーを付け,自動車の窓のようにウオッシャも付けていたが,牛がワイパを噛む等の事故の恐れがあったので,ワイパ等を外して実験を行った。このため,得られた画像は,ガラス窓の汚れの影響を受けた。今回のような自動撮影は,飲水の度に画像が自動的に得られる特長があるが,ガラスの汚れのほか,長期間の実験では牛の成長とともに目の位置が変化し,それに伴いカメラ位置の調整を要する。今回のような自動撮影以外に,手持ち式カメラについても検討する予定である。
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