研究課題/領域番号 |
17H01507
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
長谷川 大輔 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (20366793)
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研究分担者 |
内田 和幸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10223554)
北川 勝人 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50409067)
齋藤 弥代子 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (80367242)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | てんかん外科 / てんかん / 犬 / 猫 / 獣医臨床 |
研究実績の概要 |
平成31年度/令和元年度の研究実績は以下の通りである. 1.基礎研究:①長谷川班(日獣大)では健常ネコでの前側頭葉切除術2頭を行い,1頭は実験終了,1頭は経過観察中である.また平成30年度に実施した難治性てんかん猫に対する海馬切除後の経過は発作頻度の激減が認められ,欧州獣医神経病学会で公表.②齋藤班(麻布大)ではてんかん犬における迷走神経刺激療法が実施され,良好な成績が得られており,獣医神経病学会およびアジア獣医内科学会で公表.③北川班(日大)では健常犬3頭を用いた運動野・感覚野・十字溝のマッピングが行われた.④金園班(日獣大)では健常犬2頭に対し視床前核を標的とした深部脳刺激実験が行われ,挿入位置の誤差評価および刺激条件設定が行われた.⑤内田班(東大)は①および下記2の臨床例の組織サンプルの病理組織学的評価を行った. 2.臨床研究:平成30年度に脳梁離断術(日獣大)を行った1例の追跡調査および発作再燃により2回目の追加手術が行われ経過観察中である.加えて1例で脳梁離断術(日獣大),1例が迷走神経刺激療法(麻布大)で実施され,現在経過観察中であり,現時点ではいずれの症例も比較的良好な成績を示している.なお,3例ほど令和2年度にてんかん外科適応であろう症例の認定審査が行われている. 3.全2回(12月,3月)の研究者会議が行われたが,年度末に予定していた1回は新型コロナウイルス感染拡大防止策のため期間を設けたメール会議となった.しかしながら,共同研究者・研究協力者は学会等で度々対面・同行しており,また臨床研究のための審査等で常にメール会議を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究は研究計画当初(平成29年申請時),平成31年度(令和元年度)までと計画立てていたが,各班ともにやや遅れている(各研究者の他の業務の都合上).しかし各々確実に進行しており,研究期間中継続して実施し,完遂する予定である. 一方で,臨床研究についてはまだ例数は2例と少ないながら,成績は比較的良好であり,かつ候補症例も増えてきていることから,順調に進んでいる. また成果報告として学会発表も行われているため,総合的に判断しておおむね順調に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
1.基礎研究:各班とも現在進行中の実験研究を継続して遂行する.一部は実験が完了しているものもあるので,それらについては令和2年度に学会および学術誌にて公表する. 2.臨床研究:既にてんかん外科を実施した症例については追跡調査を継続する.新たな候補症例は滞りなく手術へ進むよう手続きを進め,てんかん外科手術を実施する.令和2年度,3年度前半までがてんかん外科実施の中心となるため,より多くの症例が集められるよう,各研究者で様々な方向へ喧伝・情報発信してゆく.現在の所,切除外科の実施例がないため,特に注力したいと考えているが,慎重に判断して適切な術式でてんかん外科を実施していく. 問題点として,この報告書の作成時点で新型コロナウイルス感染症拡大のため,大学および大学病院での研究遂行に様々な制限が出てきており,いずれの研究計画も予定通り進まない可能性を非常に危惧している.
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