食物アレルギーは「食の安全・安心」を揺るがす社会問題になっている。しかし、その発症や進行、寛解に関する基礎研究は進んでおらず、管理・治療法の開発は遅れている。本研究では、アレルギー反応を起こす肥満細胞が産生するプロスタグランジンD2(PGD2)と呼ばれる生理活性脂質が、①食物アレルギーの発症につながる上皮からの抗原の吸収からIgE抗体の産生、②アレルギー性炎症の発現から悪化、そして③食べられるようになる免疫の寛容までを制御する、重要な分子であることを証明することに成功した。また、薬物によるPGD2産生や受容体シグナルの刺激や阻害が、食物アレルギーの治療として有用となる可能性を示すことができた。
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