研究課題
今年度の研究実績として、tRNA iMetおよびeMetの相補ssDNA配列を固相化し、細胞から調製したRNA抽出液と混合することで、各tRNAを特異的に精製する方法を確立した。この技術を線虫の分子遺伝学と組み合わせることで、W02A11.1遺伝子がコードするタンパク質が、tRNAの中でも特に翻訳効率に影響するiMetおよびeMetの58番目のアデニンの1位のメチル化を触媒することを見出した。一方、哺乳類で同部位を脱メチル化する酵素として知られるALKB-1の線虫オルソログalkb-1をノックダウンした線虫のm1Aを、上記の方法で定量的に解析したところ、若干の増加傾向が認められた。またW02A11.1遺伝子については、線虫のL1幼虫期および成虫期からのノックダウンでいずれも有意な寿命延長が認められていたが、同時に健康寿命の指標である運動機能の上昇やストレス耐性の亢進をもたらすことが示された。昨年度に引き続き、既存のDNA/RNA脱メチル化酵素の一次構造からノックダウンライブラリーを構築し、tRNAを基質とする新規脱メチル化活性のスクリーニングを展開してきたが、有力な候補遺伝子は得られなかった。一方で新たな取り組みとして、RNAメチル化酵素自身のタンパク質メチル化による活性制御の可能性に着目し、任意のタンパク質を精製後に酸加水分解処理し、そこに含まれるメチルアミノ酸をLC-MS/MSで分析する方法を確立した。リジン、アルギニン、ヒスチジンの全てのメチル化について検出が可能となり、W02A11.1タンパク質およびrRNAのアデニンメチル化酵素RRAM-1については、現在解析を進めている。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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