本研究は、メチル化反応の修飾基供与体S-アデノシルメチオニンがメチオニン代謝を経て産生されることに着目し、RNAのメチル化修飾制御という観点から、栄養情報と生物寿命をつなぐ分子基盤の解明を目指した。老化研究のモデルである線虫を用いて、まず生体内のRNAのメチル化修飾動態を網羅的に解析する方法を確立した。また新規のRNAメチル化酵素を同定し、この酵素がトランスファーRNAの58位のm1A修飾を担うことを明らかにした。さらに、この遺伝子をノックダウンした線虫が、野生型に比べて約30%の寿命延長を示すことを見出した。以上の結果は、tRNAのメチル化修飾が個体の寿命調節に関与する可能性を示唆している。
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