研究課題/領域番号 |
17H01533
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
清水 重臣 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (70271020)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | GOMED |
研究実績の概要 |
Golgi-mediated degradation pathway (GOMED)は、ゴルジ体から細胞外、細胞膜に運ばれる蛋白質輸送に障害が生じたときに、行き場を失った蛋白質が分解される機構である。GOMEDは、その異常により神経変性疾患を惹起することなどから、生理的に重要な細胞機能である。本研究では、①GOMED実行機構の解明、②GOMEDが重要な役割を担っている細胞の種類の同定、③GOMEDの動態解明、④GOMEDの変調から生じる細胞障害機序、の解明を目指している。これらの解析により、GOMEDの生体での役割ならびに、ゴルジ体の真の機能実態を明らかにする。 本年度は、「GOMED実行機構の解明」に関しては、これまで遺伝子欠損酵母株よりyGOMED1分子など4分子を同定していたが、さらに1種類の関連分子の同定に成功した。また、この分子を欠損した酵母細胞を作成し、GOMEDに関与していることを確認した。さらに、この分子の哺乳動物ホモログ分子を、線維芽細胞でノックダウンしたところ、GOMEDがほとんど誘導されず、極めて重要な分子であることが判明した。 また、「GOMEDの生理機能」を明らかにするために、腸管特異的GOMED1マウスの解析を行ったが、腸管ではGOMED1のホモログであるGOMED2が存在しており、顕著な異常は認められなかった。 さらに、ケミカルバイオロジーを用いて、GOMED誘導化合物を同定することに成功した。この化合物は、ゴルジ体に直接作用し、フォスファチジルイノシトルの運搬に関与すること、この現象を介してGOMEDが誘導されることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「GOMED実行機構の解明」並びに「GOMEDの動態解明」において、重要な知見が得られた。具体的には、GOMED実行機構のコア分子の同定に成功した。また、GOMED誘導化合物の同定により、GOMEDの動態や実行メカニズムの解明が急速に進んでおり、研究は順調に進捗している。さらに、ゴルジ膜の動態解析系の構築や超解像顕微鏡を用いた解析も順調に進行している。このように、研究の成果は順調に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、「GOMED実行機構の解明」、「GOMEDが重要な役割を担っている細胞の種類の同定」、「GOMEDの動態解明」、「GOMEDの変調から生じる細胞障害機序」の解明を進める。同定できた新規のコア分子に関しては、新たな遺伝子改変マウスを作成中であり、このマウスの解析ができるものと思われる。また、当該分子の作用点に関しても解析を行う予定である。
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