研究課題/領域番号 |
17H01553
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
上島 弘嗣 滋賀医科大学, アジア疫学研究センター, 特任教授 (70144483)
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研究分担者 |
三浦 克之 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90257452)
中川 秀昭 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (00097437)
坂田 清美 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50225794)
斉藤 重幸 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (60253994)
奥田 奈賀子 人間総合科学大学, 人間科学部, 教授(移行) (80452233)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メタボローム / 公衆衛生学 / 疫学 / 国際共同研究 |
研究実績の概要 |
1996-99年に実施された栄養と血圧に関する国際共同研究、INTERMAP研究(中国(3集団)、日本(4)、英国(2)、米国(8)の17集団、40-59歳男女4,680人を対象に、4日間の24時間思い出し法による栄養調査、2日間の24時間蓄尿、4日間8回の血圧測定、質問紙調査等を実施)の副研究であるINTERLIPID研究の血清データを用いたメタボローム解析を行うための計画について、英国・ロンドンのImperial College Londonの共同研究者らと2017年4月に会議を実施した。2017年5月に、ハワイ大学の超低温冷凍庫に長期保存されている日本人および日系米人(ハワイ)の計1,412人の血液検体をロンドンへ輸送することを計画し、各大学の倫理審査の承認を得た。血液検体を安全に、滞りなく輸送するため、輸送時期、輸送方法、経由地、経由地での追加ドライアイス、発送責任者、受取責任者などを綿密に計画した。8月に日本側から検体輸送のための必要書類をハワイおよびロンドンへ提出した。2017年10月より共同研究者がハワイ大学へ赴き、ハワイ現地での進捗状況確認を行い、血液検体の配送準備に取り掛かった。2018年1月にハワイ大学での発送準備が完了し、現地の輸送責任者、輸送会社および輸送時期などの段取りが整った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では、2017年9月までに、 ロンドンとの事前準備、ハワイの検体送付準備、ハワイからロンドンへ検体移送を 行い、2018年3月までにメタボローム測定を行う予定であった。しかしながら、ハワイ保管中 の血液検体をロンドンへ移送するための協議が 2017年5月より開始し、8月に日本側での必要書類を提出した が、ハワイの研究協力機関の担当者による必要 書類の作成が再三の督促を行っても実施されず 、研究計画に7か月の遅れが生じた。2018年1 月に研究協力者が検体移送についてハワイにて 直接交渉し準備が再開され、2018年4月に検体を移送し、5 月からロンドンにて測定を開始することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は、ハワイからロンドンに輸送された日本人および日系米人の1,412人の血液検体を用いて、Imperial College Londonにてメタボロームの測定を行う予定である。具体的には、まず代謝物の構造を原子レベルで解析するために、核磁気共鳴分光法(1H NMR)および超高速液体クロマトグラフ質量分析計(UPLC-MS)を用いて、血清中の糖、アミノ酸、有機酸、脂肪酸、ビタミン等の低分子化合物(メタボローム)を、非標的に測定する。1H NMRとUPLC-MSによる分析および一連の統計ツールを用いることで、高血圧の危険因子あるいは高血圧に関連するバイオマーカーとしてのメタボロームを探るこが可能となる。標的メタボロームに制限がなく、分離能が高い1H NMRと、検出力の高いUPLC-MSを組み合わせることで、より広範囲の網羅的測定を行う。本研究では、ソフトウェアによるデータ処理およびフリーの解析ツールを用いることで、高速かつ高精度に有望なバイオマーカー候補を抽出する。代表的なスペクトルデータベースHuman Metabolome Database(HMDB)、Biological Magnetic Resonance Data Bank、METLIN and Madison Metabolomics Consortium Database、Serum Metabolome Database(SMDB: http:// www.serummetabolome.ca) 等の情報を参照し、バイオマーカーリストを作成し、ヒト血清から抽出可能なメタボロームを同定する。
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