研究課題/領域番号 |
17H01555
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
新開 省二 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (60171063)
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研究分担者 |
秋山 弘子 東京大学, 高齢社会総合研究機構, 教授 (10292731)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フレイル / 全国高齢者代表標本 / 縦断研究 / 格差 |
研究実績の概要 |
1 第9回調査の実施 1987年から継続する全国高齢者縦断研究の第9回調査を2017年9月~12月に実施した。第9回の対象は、第5回調査(1999年)までに全国から無作為抽出され調査に参加した81歳以上(2017年時点)と、第8回調査(2012年)から参加する65歳以上の高齢者であり、全員が過去1回以上調査に協力した追跡対象者であった。住民票(除票)の確認等により調査実施前に死亡・施設入所が判明した人を除く2,398人に訪問面接調査の依頼を行い、1,748人(訪問後の死亡・入所判明者を除く回収率は77%)より協力を得た。また、対象者本人が面接調査に回答した1,495人のうち92%が、体力・身体測定への協力にも同意した。測定項目のうち3項目は第8回調査と同じ握力、2.5m通常歩行速度、体重であり、前回計測した身長については自己報告とし、代わりにデミスパンを測定した。調査の実施前には、測定の信頼性・安全性を高めるため、全国7会場で調査員の研修を実施した。
2 第8回調査(2012年)におけるフレイルの判断基準の検討 Friedら(2001)はフレイルの特徴としてshrinking(代替指標として体重減少)、weakness(握力の弱さ)、poor endurance and energy(疲労感)、slowness(歩行速度の遅さ)、low activity(身体活動の低さ)の5つを挙げ、3つ以上に該当する場合をフレイルとしている。Friedらの基準を用いてフレイルを定義した先行研究をレビューし、使用されている具体的項目や「該当」とする基準値(カットオフ値)の設定方法を調べるとともに、質問項目の欠損値や測定を実施できなかった対象者の取り扱いについて検討した。その結果をもとに、第8回調査データにおいて、フレイルの状況を判断するために使用する項目の選定や基準値の設定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、第9回調査を実施し、回収率も良好であったため。平成30年度からは、体力・身体測定が導入された2つのwave(第8回、第9回)の縦断的な分析が可能になる。
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今後の研究の推進方策 |
1 縦断データベースの構築と解析 第9回調査のデータクリーニングを行い、第1回(1987)~第8回調査(2012)までのデータと統合して縦断的なデータベースを構築する。合わせて、追跡対象者の2017年までの入院・入所や死亡の状況についての情報も整理し、分析可能にする。 前年度、暫定的に設定した基準により判定した2012年(第8回調査)のフレイル状態(非フレイル、プレフレイル、フレイル)について、体重減少など一部の項目を追加した2017年の面接・測定におけるフレイル状態との比較や、追跡期間中に発生した負の健康アウトカム(ADL障害、入院・入所、死亡など)との関連の分析を通して、フレイル基準の妥当性を検証する。基準値確定後、フレイル出現率の算出を行い、出現率の格差を生み出す個人、地域特性についても検討する。さらに、フレイル発生による心理・社会・経済的資源の変化や、フレイルの健康アウトカムへの悪影響を緩和する要因についても分析する。
2 研究成果の公表 研究成果は、学会発表、論文等において、随時公表する。第9回調査の集計結果については、本年度末までに、一般住民に向けたパンフレットを作成し、調査協力者に送付するとともに、調査のホームページ上でも公表する。
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