研究課題
平成29年度には、CRISPR/Cas9スクリーニングで同定したDCPS遺伝子の、白血病細胞分化・細胞死及ぼす影響をin vitro、in vivoで検討し、その作用分子メカニズムを解明した。さらに、DCPS阻害剤(RG3039)の抗白血病効果を、白血病細胞株、PDXマウスヒト白血病モデルを用いて検証した。これらの研究から、DCPSの阻害が白血病細胞中でmRNAのミススプライシングを誘導することで、細胞内にウイルス感染様の反応を惹起し、白血病細胞の分化・細胞死を誘導することが判明した。DCPS遺伝子の欠損が、ヒトの造血に及ぼす影響を探るため、DCPS遺伝子のホモ欠損を有する家系のCBCを解析し、DCPS遺伝子が白血病細胞の生存に必要である一方で、正常造血には不必要であることを見いだした。これらの結果はCancer Cell誌に今年発表した (Yamauchi et al. Cancer Cell, 2018)。PAICS阻害剤の抗白血病細胞効果に関しては、現在in vitro, in vivoでの抗白血病効果を確認しており、その作用分子メカニズムと阻害剤に対する耐性のメカニズムをCRISPR-Cas9全ゲノムスクリーニングを薬剤存在下で行うことにより、解明を試みている。今回のスクリーニングで同定した130の白血病遺伝子それぞれに対して、Saturation mutagenesiを試行し、機能的に重要なアミノ酸残基の同定を試みている。
2: おおむね順調に進展している
DCPSに関するプロジェクトは、論文化にいたっており、その他のプロジェクトに関しても、当初の予定通り進行している。
CRISPR-Cas9スクリーニングで同定した他の標的分子に関して、CRISPR-saturation mutagenesis等を駆使してさらなる解析をすすめ、阻害剤に関してはその抗白血病効果をin vitro, in vivoで評価する。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)
Cancer Cell
巻: 33 ページ: 386~400.e5
https://doi.org/10.1016/j.ccell.2018.01.012
Blood
巻: 25 ページ: 3332-3343
https://doi.org/10.1182/blood-2016-09-741611