研究課題
疫学調査から、糖尿病合併妊娠ではその児に様々なタイプの先天異常が発生するリスクが亢進することが知られている。本研究は、糖尿病雌マウスを使用して先天異常が発生するメカニズム及びこれと関連した発生現象を明らかにすることを目指しており、本年度は以下の結果を得た。・糖尿病時における左右軸形成異常:前年度までに糖尿病雌マウスに発生する胚の左右軸形成異常が給餌飼料のロットで変動することを明らかにしたが、その原因の可能性がある栄養素Aの濃度を調整した精製飼料を作成し糖尿病雌マウスに給餌したところ、Pitx2発現を指標とした左右軸形成異常のパターンが変動した。さらに、栄養素Aの代謝経路を阻害する薬剤を糖尿病雌マウスに投与したところ、左右軸形成異常が抑制された。従って、糖尿病時における左右軸形成異常は、飼料中の特定栄養素の影響を受けていることが考えられる。・糖尿病と胚レチノイン酸:糖尿病雌マウスに発生する胚ではレチノイン酸代謝酵素Cyp26A1の発現が抑制されることが報告されている。我々の実験系で糖尿病マウスを作出し、これに由来する様々な発生ステージの胚でCyp26A1の発現を解析した。一方で、新たなレチノイン酸シグナルのレポーターマウスの作出を試み、ROSA26領域にRARE-H2BGFPを挿入したマウスを作出したが、恐らく作出のベースとしたレポーターマウスのプロモーターとの組み合わせが不適合のため、新しいラインではレチノイン酸シグナルを適切に検出できなかった。新規ラインの作出のため、プロモーター領域変更の検討を開始した。
2: おおむね順調に進展している
作出したレポーターマウスが機能しなかったのは予想外であったが、その他の進展を含めて、おおむね順調に進展していると判断した。
研究計画に沿って実験を進めていく。
すべて 2018 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
EMBO Reports
巻: 19 ページ: e46255
10.15252/embr.201846255
Elife
巻: 7 ページ: e36435
10.7554/eLife.36435
https://chip-atlas.org