研究課題
疫学調査から、糖尿病合併妊娠ではその児に様々なタイプの先天異常が発生するリスクが亢進することが知られている。本研究は、糖尿病雌マウスの胚に先天異常が発生するメカニズム及びこれと関連した発生現象を明らかにすることを目指しており、本年度は以下の解析を行った。・左側相同モデル培養胚の解析:糖尿病雌マウスに発生する胚は、外来性のレチノイン酸に対する感受性が亢進し、レチノイン酸が尾芽に影響することが報告されている。左右軸形成における高グルコース環境とレチノイン酸感受性の関係を明らかにするため、高グルコース全胚培養の系でレチノイン酸がPitx2発現パターンに及ぼす影響を解析した。・Wntレポーターマウスの作製:糖尿病雌マウスの尾芽ではWnt3aが抑制され、尾部退行症候群に至ることが示唆されている。Wntカノニカル経路のTCF/LEFが結合するシス配列にはSoxが結合しうるタイプがあり、このタイプをエンハンサーとしてH2BGFPを発現するレポーターマウスを作製した。このレポーターマウスの胚をe8.5で観察したところ、Wntカノニカル経路のシグナル領域である原条で蛍光が検出され、Sox結合の有無によるWntカノニカル経路の修飾を解析できるものと考えられた。・Wnt3aのエンハンサー解析:前年度までにWnt3aエンハンサーを欠失した変異マウスを作出している。Wnt3aエンハンサーをホモで欠失した胚は正常であったため、Wnt3aエクソン1をCRISPR/Cas9によって欠失させたマウスを作出し、これをエンハンサー欠失マウスと交配させた。Wnt3a Δエンハンサー/-胚におけるWnt3a発現は、野生型胚およびWnt3a +/-胚と比較して原条における発現が減弱することが明らかになった。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Dev Growth Differ
巻: 62 ページ: 243-259
10.1111/dgd.12663
Cell Mol Immunol
巻: - ページ: -
10.1038/s41423-020-00559-7