研究課題/領域番号 |
17H01575
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畑澤 順 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70198745)
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研究分担者 |
下瀬川 恵久 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (30370258)
加藤 弘樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20448054)
渡部 直史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90648932)
松永 恵子 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80727454)
仲 定宏 大阪大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (60599843)
大江 一弘 大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (90610303)
堀次 元気 大阪大学, 医学部附属病院, 特任研究員(常勤) (70646231)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PET / 腫瘍血流 / O-15水 |
研究実績の概要 |
1)腫瘍血流量測定のためのO-15水急速静注法の確立 腫瘍移植モデルにおいて、O-15水急速静注法による血流評価法を開発した(Watabe T, et al. EJNMMI Res. 2017 Dec;7(1):16)。本法をヒトで行うためのPET撮像法、動脈血採血に替わる非採血法(画像による入力関数)を開発した。また、心室内の血液の放射能濃度を経時的に測定し入力関数とした場合、画像再構成法が血流量の定量測定値に影響することを明らかにし、臨床研究の際のPET撮像時の撮像法の最適化に寄与する成果を得た。 2) O-15水標識合成装置の設置と製造条件の最適化 新しく設置したMedtrace社のO-15水標識合成装置T2システム(ホットセルに設置)について、動作確認とO-15水の製造条件の最適化の検討を行った。製造テストでは臨床使用に十分な量が得られること、放射化学的純度についても必要な条件を満たすことを確認した。今後、3ロット試験を行い、大阪大学医学部附属病院の短寿命薬剤委員会で承認後に臨床研究で用いる予定となっている。 3)臨床研究計画の策定、臨床研究倫理審査委員会への申請 また大阪大学医学部附属病院呼吸器内科と協働し、臨床研究計画、被験者の同意を得るための患者説明書などを作成し、大阪大学医学部附属病院の臨床研究倫理審査委員会に審議依頼した。被験者の被ばく線量が通常の検査の範囲内であることの確認、同意の取得法、有害事象の評価について助言を受けた。助言に従って申請書の改訂を行った。審議の結果、承認が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
O-15水の標識合成法が確立されたので、臨床研究計画を作成し大阪大学医学部附属病院臨床研究審査委員会に申請し、臨床研究法外のカテゴリーで行うことが承認された。申請の課題名は「O15-water PETを用いた悪性腫瘍の血流評価:血流が治療効果に与える影響について」であり、研究の概要・目的は、化学療法前の肺癌患者を対象に腫瘍血流の15O-water PETを用いた定量解析を行い、その後の化学療法での治療効果を前向き観察することにより、腫瘍血流量が化学療法の効果予測因子となるかを検証することである。症例数は24例を目標としている。
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今後の研究の推進方策 |
前向き介入研究(侵襲あり)の形で臨床研究を開始する。主要評価項目は、初回の殺細胞性抗癌剤による化学療法前の肺癌患者の15O-water PETにより算出された腫瘍血流量、副次評価項目は、化学療法前後のCT、FDG PET等の各種診断画像所見との比較、とした。 被験者のリクルートは以下の条件で行う。A) 選定基準 ①当院呼吸器内科において肺癌に対して初回の殺細胞性抗癌剤による化学療法前の患者。ただし術後補助化学療法・化学放射線療法の患者を除く。殺細胞性抗癌剤による化学療法以外の分子標的薬、手術、放射線治療等の治療歴は問わない。②20歳以上の成人患者 ③本人の意志で本研究への参加について文書による同意が得られている患者、B) 除外基準 以下のいずれに合致する場合は、被験者から除外する。①全身状態等により本PET検査の実施が困難と想定される患者、②妊娠している女性、③その他、研究責任医師等が対象として不適当と判断した患者、被験者の本研究への参加の同意取得は、以下の方法で行う。研究責任者又は研究分担者の医師は、審査委員会で承認が得られ、研究機関の長の許可が得られた説明文書を被験者に渡し、文書および口頭による十分な説明を行い、被験者の自由意思による同意を文書で取得する。本説明については原則として、核医学診療科の研究責任者又は研究分担者が実施する。 主要評価項目、副次評価項目および有害事象について解析し、腫瘍血流量を評価することの臨床的有用性について判定する。研究成果を公表する。
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