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2019 年度 実績報告書

癌転移骨環境を空間的・時間的に制御する生体活性付加カーボンの開発と安全性評価

研究課題

研究課題/領域番号 17H01584
研究機関信州大学

研究代表者

齋藤 直人  信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80283258)

研究分担者 手嶋 勝弥  信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (00402131)
宇田川 信之  松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
湯田坂 雅子  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 招聘研究員 (70159226)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワードDDS
研究実績の概要

カーボンファイバー(CF)を抗癌剤のDDSに応用する研究を継続した。In vivoの実験でCFの骨形成能評価として骨密度検査を追加した。ラット脛骨の髄腔をリーミングし、生食と混ぜたCFを注入した。経時的にラット膝関節面から遠位5㎜の範囲で骨密度を測定した。10週後にコントロール(生食)と比較しCF群で骨密度が優位に高かった。またラット脛骨の癌骨転移モデルを用いてCFの新生骨評価を行った。CF-CDDP局所投与後4週で組織切片を作成し、Masson trichrome染色を行った。CF-CDDP群ではCF周囲に優位に線維性骨組織を多く認めた。一方、癌転移骨環境における骨破壊に対して抗破骨細胞薬であるビスホスホネート(BP)を局所で効率的に作用するdrug delivery system (DDS) として機能するカーボンナノホーン (CNH)の有効性評価を継続した。Raw264細胞由来の破骨細胞を使用し、BP付加CNHの粒径サイズを調整し最適化を行った。in vitro試験での有効性を十分に確認できたため、卵巣摘出による骨粗鬆症モデルラットを使用したin vivo試験に移行した。術後6週での骨粗鬆症モデルラットの十分な骨密度の低下を確認し、脛骨髄腔に骨孔を作製しサンプルを注入してCT撮影で評価した。また、BP付加CNHはin vitro試験においてラット乳癌細胞由来細胞株Walker256に対しても細胞生存率を低下させる事を明らかにした。さらにマウス頭蓋冠由来骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を用いたin vitro試験において、使用しているCNH単独で石灰化を促進することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

癌転移骨環境におけるCFのDDSとしての応用については、今までの研究成果として、CF-CDDPの癌抑制効果と骨形成能を明らかにすることができた。また、癌転移部にCF-CDDPを局所投与することで抗癌剤の血中濃度の上昇を抑えることができるため、CF-CDDPは癌転移骨環境に対するDDSとして有効である可能性が高い。一方、癌転移骨環境における骨破壊に対するBP付加CNHについては、 in vitro試験での最適化を行い、Raw264細胞由来破骨細胞およびラット乳癌細胞由来Walker256での有効性を確認できた。更に骨粗鬆症モデルラットを作製、脛骨髄腔へサンプルを注入しCT評価へ移行している。

今後の研究の推進方策

癌転移骨環境におけるCFのDDSとしての応用については、現在論文投稿中であり投稿作業を継続していく。一方、癌転移骨環境における骨破壊に対するBP付加CNHについては、in vitro試験での詳細な細胞応答性評価を行い、in vivo試験でのサンプル注入による経過をCT撮影で評価していく。加えて、組織切片を作製し骨組織親和性、BP付加CNHの有効性を確認していく。試験で得られたデータは学会にて発表を行い、論文化を進めていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] Chonnnam National University(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Chonnnam National University
  • [学会発表] Biological responses of human lymphatic endothelial cells to carbon nanomaterials.2019

    • 著者名/発表者名
      Sano M, Haniu H, Ueda K, Kuroda C, Aoki K, Saito N.
    • 学会等名
      15th International Congress of Toxicology
    • 国際学会
  • [学会発表] 癌転移骨環境における抗癌剤複合carbon fiberの評価.2019

    • 著者名/発表者名
      鎌仲貴之, 出田宏和, 佐々木純, 傍島淳,吉田和薫,滝沢崇, 岡本正則, 青木薫, 羽二生久夫, 加藤博之, 齋藤直人.
    • 学会等名
      第34回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] カーボンナノホーンに対する骨関連細胞の細胞応答性評価.2019

    • 著者名/発表者名
      上田勝也, 傍島淳,吉田和薫,鎌仲貴之, 佐々木純, 羽二生久夫, 西村直之, 岡本正則, 青木薫, 齋藤直人.
    • 学会等名
      第34回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [産業財産権] ビスホスホネート含有カーボン粒子複合体及びその製造方法2020

    • 発明者名
      齋藤直人、青木薫、上田勝也、湯田坂雅子、中村真紀
    • 権利者名
      国立大学法人信州大学、 国立研究開発法人産業技術総合研究所
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-021816

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公開日: 2021-01-27  

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