研究課題/領域番号 |
17H01585
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
西田 佳弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (50332698)
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研究分担者 |
莚田 泰誠 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (40392146)
新井 英介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (40612841)
青木 正博 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 分野長 (60362464)
松田 浩一 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (90401257)
濱田 俊介 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90747289)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | デスモイド / 薬剤開発 / 国際共同研究 / 患者立脚型アウトカム |
研究実績の概要 |
(i)NG2発現細胞にCTNNB1エクソン3の変異を導入したデスモイド発生マウスモデルの作製:Ctnnb1のエクソン3をloxPで挟んだマウスが研究協力者(武藤)の施設から分与された。NG2-CreERをCtnnb1エクソン3のloxPマウスと交配させることでNG2特異的Ctnnb1ex3 conditional knockout miceを作製した。今後、デスモイド腫瘍の形成の有無を評価する。(ii) CTNNB1変異型別の培養細胞に対するストレッチ刺激による影響:変異型WT, 41A, 45Fの細胞を用いてuniaxial stretch(10, 20%)をFrequency: 1, 10, 30, 60 cycles/minで加えた。予想に反していずれの条件でも細胞増殖は抑制される傾向にあった。ウエスタンブロットにより非リン酸化βカテニンの発現もstretch刺激で抑制された。(iii) βカテニン非リン酸化抗体による免疫染色の臨床的意義の解明:デスモイドの薬剤への応答性、CTNNB1の変異型と非リン酸化抗体による染色性との有意な関連を示した。臨床において予後予測に適用できる可能性が示された。(iv)ゲノムワイド関連解析によるデスモイド発症感受性遺伝子の同定、メロキシカムへの薬剤応答性との関連解析:血液検体を理科研に送付、研究分担者が解析を開始。(v)drug repositioningによる新規治療薬剤の検出と薬効評価:薬剤Xをin vitroの評価で抽出した。またこの薬剤XがWnt/βcatenin経路の下流遺伝子を抑制することを示した。(vi)国際的共同研究:NIHの作成した患者報告型のアウトカム評価の和訳についいて作成者と打ち合わせし、実際に進めることが決定したが、和訳の実施については和訳業者の理由から遅延が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デスモイド自然発症モデルであるApc1638Nのノックアウトマウスについて米国からの移送に時間を要したため、このマウスを使用して実施する研究の開始が遅れた。 患者報告型アウトカムの和訳を扱う研究協力者がcopy right transferの承認を得るのに時間がかかり、和訳業務の開始が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
(i)作成したNG2特異的Ctnnb1ex3 conditional knockout miceにおいてデスモイド腫瘍の形成の有無を評価する。よりデスモイドを高率に自然発症する雄のApc1638N変異マウスを研究協力者(Alman教授)より入手し、デスモイドの形成を評価する。Meflin-CreマウスとCTNNB1exon3のloxPマウスを交配し、Meflin細胞特異的CTNNB1exon3欠損マウスを作製する。(ii) デスモイド細胞を培養する基質の硬さが細胞増殖に影響するとの仮説で、培養プレートを種々の硬さ(0.5, 2, 8, 16, 32, 64kPa)に変えて、細胞増殖の評価、βカテニンやa-SMAの発現を評価する。(iii) βカテニン免疫染色がデスモイドの病理診断に頻用されているが、染色陰性のデスモイドが少なからずあるため、多施設共同および中央病理診断を実施して本染色の意義を明らかにする。(iv) ゲノムワイド関連解析によるデスモイド発症感受性遺伝子の同定、メロキシカムへの薬剤応答性との関連解析:疾患感受性variantの候補が挙がれば、症例数を増やして解析を続ける。(v) drug repositioningによる新規治療薬剤の検出と薬効評価:より多くのデスモイドを発症するApc1638Nマウスを用いてin vivoでの薬効を評価する。(vi)国際的共同研究:NIHの作成した患者報告型のアウトカム評価の和訳を完成させる。
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